chocolate genius inc / Truth vs beauty
チョコレート・ジーニアス・Inc
何人の人が知っているだろう?どうもアーティスト受けばかりして、それが売り文句になってるんだけど、どうにも売れない。そのパターンの一人です。
マーク・アンソニー・トンプソンと云うパナマ生まれのアーティストのソロプロジェクトですが、黒人の作品とは思えないほど繊細でブラックさを感じさせない不思議なアーティストです。
個人的には2005年の「ブラックヤンキーミュージック」でノックアウトされた口で、その頃にはD・バーンやP・グラスなどがこぞって賞賛していました。
深淵なる声、ズブズブと足元から沈みこむようなサウンド。音と音の間の静寂に聞こえない無数の音があるような、濃密な静けさがあるのが特徴と思ってますが、何を言っているのか好きな人にしかわからないとは思います。
そのチョコレートジーニアスが新作を出していました。
しかもフランスのレーベルからの発売と云う謎のリリース。ニュースにもなってないんじゃないかと思われます。
今年の3月にひっそりリリースされている…
サウンドはあいかわらずで、素晴らしく濃密で、フォーキーで深く、緩やかなグルーヴが渦巻いていて、静けさが鳴っています。
全て自分で演奏し、多重録音した作品のようで、ノイジーな曲やカントリーチックな歌もあり、フランスでリリースされているからか、結構アメリカらしさが出ているのが、アンソニーらしいひねくれ具合かもしれません。
アナログを購入したのですが、レコードは真っ白。ジャケットは人を喰らう巨大羊。
アートディレクションも細やかでしっかりしていて、所有欲を刺激される良いプロダクトだと思います。
興味を持った方は是非。はまる人はズブズブはまってしまうアーティストです。
ジャズとかレディオヘッドとか
余り突っ込むような類の話ではないけど、あえて言っておこうかと。
最近、ジャズがちょっとした流行なのか、「新しいジャズ」なんて言葉を聞きます。
あんまりにもその物言いが漠然としていて失笑してしまいます。
例えば今、「新しいロックがあるんだけど、聞く?」と言われて興味を持つだろうか?
かねてから「ジャズ」と言う雑な言い方が嫌でした。
「ちょっとライブに」と言うと、「ジャズのライブ?俺もジャズのライブ行きたいんだよなあ」と言われて閉口したことがあるのです。
このセリフのジャズをロックに変えてみて、そういうことを言う人とライブに行きたいでしょうか?
つまりジャズはぼんやりとしていて、なんとなく良いとか好きが許されちゃうのです。
ジャズの持つ、ちょっとしたクールさやインテリな感じとかがそうさせるのでしょう。
そういった「新しいジャズ」周辺でレディオヘッドが注目を集めています。
B・メルドーが頻繁にカヴァーしたり、とにかくレディへのミュージシャン受けは相当いいのでしょう。
ジャズを聞いていても、案外レディへを避けて通れないようなご時世のようです。
強烈なレディへファンではないですが、それなりに好きな一ファンとして、ここ最近のレディへの取り上げ方に非常に違和感を感じてしまいます。
ジャズとの関係性のようなものが、どうしても無理やりにしか思えないのです。
レディへはもちろんジャズではないのですが、ジャズじゃないと言うこと自体が、ジャズの中に少しでも組み入れたいと言う下心が透けて見えるじゃないか。
レディへの脱ロックは当然聞けば分かるんだけれど、それはテクノとかプログレの角度からまず検討すべき項目でしょう。
テクノやヒップホップと言う今の主流の中に、ジャズの方法論と言うよりブラックミュージックが延々と培ってきたルールが生きているからこそ、テクノやヒップホップの方法論を巧みに取り入れるレディへの音楽にジャズの要素のようなものが見え隠れしているのは、ちっとも不思議ではないでしょう。
しかし、それをひとっ飛びにジャズとの共通項みたいな風に考えるのは、余りにも突飛すぎると言わざるえません。
むしろ、テクノやプログレのラインからレディへの音楽を感じていく方が自然だと思うのです。
そして、一つのジャンルに執着する余り、何か歪んでしまうのもどうも…
まあ、テクスト的に遊ぶ程度であれば良いのですが、どうにも解せないと言うか力技過ぎる風潮にどうにも居心地が悪かったので、ここでちょっと意見してみました。
あくまでも個人的な意見でぼやきに過ぎないのでご了承くださいねw
フジロック2017 1日目の妄想スケジュール
さて、そろそろ青写真でも描いていきましょう。
タイムテーブルが出ると変更を余儀なくされるのですが、今は夢を描いてニヤニヤすることが許される期間です。
目一杯欲張ったスケジュールを立ててみましょうw
とりあえず見たいアーティストをピックアップです。
□ Green stage
The XX
Rag'bone man
□White stage
□Red stage
Sampha
Gallant
Arca
□Heaven
Orga You Asshole
Yogee New Waves
□Palece
Marcus king band
□木道亭
□苗場食堂
スカート
□Pylamid Garden
Asa-chang&巡礼
□Cafe de Paris
朝一発目は、おそらくYogeeでしょう。ヘヴンまでの道のりで寄り道もありえますが、まあ例年グリーンで祭り気分を盛り上げて行くのが定番。
グループ魂は、ちょっと寄り道するにはうってつけな「嫌な予感」がしますw
Yogee~Rag'bone man~orgaが理想ですが、この移動距離は極めて困難な予感です。
とするならば!グループ魂〜Rag'bone man~Orgaが現実的ではないでしょうか?
この線は非常に濃いですw
ここで遅めの昼食をアバロン近辺で取るのではないでしょうか。
orgaから木道亭のRei~苗場食堂のスカートといけると良いですね。時間帯としては無理がありますが…w夢として充実した移動時間を夢想したいところです。
時間的には14〜15時くらいでしょうか。
Gallantが見れると良いのですが、ここらが肝ですね。そろそろ早めの夕食と決め込んで苗場食堂周辺で食事です。
基本、とろろごはんと豚汁にきゅうりが基本です。苗場食堂は行列が出来るので、もし混雑していればプリンスホテルのとろろごはん&豚汁を狙うのも良いでしょう。
ここでリクオを見ながら食事が出来るとバッチリですw
そろそろ人が集まり出すのでThe XXを見るためにグリーンのエリアに足を向けます。
ホワイトへの移動を考えるならステージに向かってホワイト側のPAテント横を狙います。XXは、前回キュアーの裏のホワイトで演奏しており、「キュアーがグリーンで…」とブツブツ言っていたらしいので、キュアーファンとしては見ておきたいですね。
XX終了後、すぐさまホワイトのQueen of stone ageへ。
メタリカと並び、ロック的なカタルシスを感じさせてくれる希少なバンドなだけにがっつり見たいですね。ブルース色の濃いステージを見せてくれることを期待しましょう。
終了後、さらに奥のCafe de Parisでヒカシューが奇跡的な時間帯でパフォーマンス。
バッチリ尖った演奏を満喫して、グリーンに向かいます。
終了後、のんびりグリーンへ向かえば、ゴリラズが派手なパフォーマンスを見せてくれているのではないでしょうか?
1日目は無理なくゴリラズをチラチラ見ながらの苗場食堂で、最終的な締めの食事を。
一同集まっての反省会を開くのも良いでしょうw
RedのArcaを見て、時間帯によってはクリスタルのMarcus kingをチラ見してテントへ。
無理なくこんな感じですかねw
まとめると、こんな感じですかねw
グループ魂〜Rag'n bone man〜Orga You Asshole〜Rio〜スカート〜Gallant〜リクオ〜The XX〜Queen of The Stone Age〜ヒカシュー〜Golliraz〜Arca DJ〜Marcus King Band
まあ、かなり無理がありますが、今はこんな夢想が楽しいですね。
フジロック2017 フジロック17サブステージアーティストガイド〜今年はサブステージに惑わされるフジロック
始まるまでもが楽しいフジロック。
時折、そんなことを言ってしまうくらい、アーティスト発表がある度に色々と夢想したり、タイムテーブルを見ながら最善策を検討するのが楽しいのがフジロック。
今年もステージ割発表で、色々な妄想スケジュールをするのに余念がありません。
2日目はCooco以降はグリーンにいても良いくらいだなとか、でもホワイトの並びも無視できないぞとかw
まあ、これもフジロックへ行く人間にとっては恒例の楽しみです。
まず今年のフジロックの個人的な印象としては、ヘヴンのカラーの薄まり方が止まらないこと。ヘヴンは独特なアーティストセレクトがあったけれど、それが殆どなくなってしまいました。
ホワイトの元気ぶりも近年の特徴で、ホワイトのライヴは見過ごせないと思うのも大きな特徴の一つ。
そして、オレンジがなくなって拡散した渋いアーティストがサブ会場に散らばって、サブステージの充実っぷりが見過ごせないのが特徴だと思います。
昨年もその傾向がありましたが、今年は更にサブの充実っぷりが顕著だと思います。
ジプシーアバロンのYasei Collective&the Makerやリトルクリーチャーズwith原田郁子は、ヘヴンに出ても全然おかしくないアーティストだし、苗場食堂のスカート、エマーソン北村、木道亭のReiやAsa-chang&巡礼なども見過ごしがたいアーティストです。
ルックスとのギャップ萌えも半端ないスカートw
リリース時から名曲のオーラが半端なかった名曲「影の無いヒト」など、独自の 路線を突き進む巡礼
すでに和製ホワイトストライプス?と思ってしまうくらいの風格漂うRei
80年代インディー界の女帝戸川純が新たに進める新鋭プロジェクト。吉田達也なども参加しているのが肝
デビュー当時から異端でしたが、今もって丸くなるどころか、どんどんシュールさを増すヒカシュー
今年のサブステージのトリwというのかどうか。とにかくサブステージ初の入場規制がかかるのか?が注目される小沢健二
このようにサブステージのアーティストをおつまみにメインステージを回ると言った楽しみを増やしているのが、現在のフジロックのトレンドなんじゃないでしょうか?
取り立てて見たいアーティストがない時は、こういったサブステージでフジ飯片手に空腹を満たしながら、ゆっくり音楽を楽しむのもフジロックならではの楽しみでもあります。
メインステージの兼ね合いで見れなかったり、偶然見れたりするのが常ですが、スケジュールを見つつ、このアーティストは見てみようか?などと考えてみるのも良いでしょう。
とはいえ、なかなかスケジュール通りにいかないのがフジロックの、これまた楽しみだったりするのですが…w
ギリアン姐さんが頑張っている
今年、これ以上にワクワクする新譜はないだろうと思うくらい楽しみにしていたB・メルドーとクリス・シーリの共作は、その期待を上回る出来でした。
ジャズとブルーグラス。
共に日本人にとっては敷居が高いジャンルの頂きに立つ二人の共演であれば、難解なものになるかもしれない…とも思いましたが、むしろ素晴らしいポップアルバムに仕上がっており、やはり天才は違うと唸らされました。
B・メルドーのピアノがクリスのバンジョーに煽られ、メルドーのベースタッチにクリスが煽られる。
この高みへと上がっていく理想的な循環が、作品を躍動感のある快作を作り上げていて、聞いていて爽快な気分にさせてくれます。
その記念すべき共演作に収録された「Scarlet Town」はもちろんのこと、日本盤のボートラに収録されたのが「Dark Turn of Mind」。共にギリアンの楽曲です。
クリスもサラ・ジャローズ同様、ギリアンのファンなのでしょう。ソロ名義でも「Way Side」をカバーしており、ギリアンのカヴァーはお手の物です。
そんなギリアンリスペクトに刺激されたのでしょうか?遂に!というのも不思議ではありますが、最新作「The Harrow and The Harvest」のアナログ盤リリースが決定しました。
ギリアン姐の音楽を知るファンであれば、むしろ「アナログでこそギリアン姐の歌は映えるんじゃないの?」と思うことでしょう。
調べた限りではアナログでリリースされたのは「Soul Journey」だけで、これも現在入手困難になっています。何枚リリースされたかも定かではありません。おそらくごく少量のプレスだっただろうと思います。
彼女の数少ないオリジナルアルバム(ほぼ20年のキャリアで!)5枚と言う寡作さではありますが、「The Harrow and~」が、二人のキャリアの中でも傑作の一つであるのは間違いないでしょう。
既に孤高の存在であり、ギリアン姐とデイヴ兄ぃしか到達しえない境地にいると言っても過言ではなく、バンドスタイルで録音された「Soul journey」から、またもや二人のみの演奏へ回帰、見事な静謐さ、静けささえ聞かせてしまうサウンドには惚れ惚れしないではいられません。
そして、この作品での聴きどころの一つである「Dark Turn Of Mind」のPVがアナログリリースと同時に公開されたのも「分かってる」感が強い。
当たり前のことだけれど、二人が一番二人の魅力を分かってるってことでしょうw
オルタナカントリーファンであれば、ギリアン姐の作品をアナログで聴くことに特別な意味があると思う人は少なくないはず。
今回のアナログリリースが、特別な意味を持つのはリリースされて2年を過ぎてからリリースされることからも分かると思います。
ちょっとでも興味を持った方は是非。決して損はしないはずです。
フジロック2017 出演者ぞくぞく発表 だけど…
フジロック出演者が続々発表になってますね!
でも、なぜか燃えませんw 正直、これは!と思うものがないのですねえw
あ、コーネリアスは嬉しいです。小沢健二と「妄想を掻立てる」ブッキングがあるからではなく、コーネリアスのライヴは純粋に見たいですね。
以前、恵比寿リキッドルームで見たコーネリアスとゆらゆら帝国のジョイントライヴは、双方のライヴのクオリティが半端なく、生涯ベスト級のライヴでした。
この時のコーネリアスは「point」ツアーで、ステージ上の映像とバンド演奏がリンクしていると言う凄まじいおたくチックなライヴでしたが、本当圧巻でした。
しかし、その後発表されたアーティストには、あまり琴線が触れるものがありません。
現在はこのような感じです。
1日目は、QOTSAとXXが楽しみですね。あと、ARCAがどんなステージをするかが楽しみです。日本勢ではougaでしょうか。
2日目は、なんと言ってもエイフェックスですが、おそらくエイフェックスのライヴが感動的ということはないでしょうw見ることに意味があると言った感じでしょうかw
この2組以上の目玉はそうそう考えられないでしょう。
個人的には少々見たいのが、テンプルズ、レモンツイッグスでしょうか。
3日目は、何をおいてもビヨークでしょう。今年の名実共にヘッドライナーと言っていいと思います。
他に期待しているのは、オルタナカントリー系のsturgill simpson。トロンボーン・ショーティあたりはお祭り的な意味合いで楽しみです。あとポップ系ですがReal Estateでしょうか。ロン・セクスミスも夕方あたりにまったりみたいですね。
しかし、何かが足りないのです。
渋めのサプライズ。「こんなの呼んじゃうのか!」という驚きがない。
むしろ、手堅く置きにいっている印象が否めません。
ワールド系もないのが寂しいですね。元々、ワールド系のセレクトは得意ではないのがフジですが、ワールド系、ブラック系で面白いのが欲しいところですね。
今後に期待したいところです。頑張れ!フジロック!
案外、読書にはテクノが似合う wunder 「wunder」
部屋を整理していたら愛聴盤が出てきました。
部屋に氾濫するCDはますますカオスと化していて、持っているCDさえどこにあるかわからないという体たらくは、どうにかしたいのですが…
ただ、整理をしている内に出てくると、まるで購入したかのような喜びがあったりするのも、なかなか捨てがたい快感だったりしますw。
今日、部屋から発掘されたのはドイツのテクノレーベルKaraoke Kalkから1999年にリリースされたwunderです。
ちょっと不思議なジャケットでしょう。不思議と印象に残ります。
このジャケット同様、強く印象の残るエレクトロニカの作品です。
ヴィクセル・ガーランドがwunder名義でリリースした作品で、リリース当時輸入盤店では相当話題になり、人気を博しました。
テクノというにはアナログ以上にアナログチックな手触り。「ブラジル」のカヴァーやB・ホリデイのサンプリングなど、テクノなのにノスタルジックな感傷を起こさせる手練れなリスナーを裏切るサウンドが、当時斬新でした。
アンビエントのようでもあり、静かなジャズのピアノソロのような静謐さがあり、サンプリングされた音は、まるで微かに聞こえて来る都会の喧騒や森の中の鳥のさえずりのようでもあります。
「新しいのに不思議に懐かしい」
そんな印象を与える不思議なアルバムで、改めて聴いても現在聴けるポップなエレクトロニカと比べても全く遜色がないことに驚きます。
エポックメイキングな作品が、すでにあらゆる要素を網羅している典型の一つと言ってもいいでしょう。
当時、読書のBGMに愛用していた作品ですが、某レコードショップの読書のBGM向けの編集盤にもセレクトされていて、大いに頷けるものがありました。
今まで読書用BGMとして愛聴してきたものをあげると、ムーディマンの「ブラックマホガニー」、砂原良徳の「Love Beat」、それにwunderと、案外テクノの作品をBGMにすることが多かったように思います。
波長の合うテクノの作品は、かなり中毒性が高く、病みつきになるのはジャズに通じるものがあるようにも思えます。
名もなき傑作。
そんな冠が相応しい作品と言っても良いでしょう。