ゆっくりと長い道のり エマーソン北村
この人の佇まいが余りにもほのぼのとしていて、気にせずにはいられません。
かつて、じゃがたらやトマトス、ミュートビートやピアニカ前田などの傍にいた誠実そうなキーボーディストです。
斬新だったり革命的なことをする訳でもなく、変に格好つけたり、挑発的な演奏をする訳でもない。
ただただ良い音楽を奏でることだけを、淡々とやってきたミュージシャンです。
アーティストではなく、ミュージシャンと言う肩書きがしっくりくる人です。
そのエマーソン北村が、ここのところ非常に面白い。
何か、自分の居場所を見つけたような、もちろん以前から北村さんは分かっていたのでしょうが、ここにきてものすごく説得力を持ってきたように思えます。
ここのところ、強く久々にライヴをみたいと思っています。
ああ、北村さんだわwと、うっかり微笑んでしまった一曲をここで。
Silvia Perez Cruz 正真正銘 純度100%の歌い手
よもやの、まさかの、ファンだった人の口から出るのは、そんな言葉ばかりでした。
シルビア・ペレス・クルスの来日公演は、スペイン国交150周年の記念行事の一環での来日。想像でしかありませんが、恐らく本国での人気と日本での人気のギャップから考えるに、今回のツアーのように弦楽五重奏楽団を引き連れての豪華な公演は不可能だったと思われます。
そう考えると、ブルーノートで1セット8000円は、バックのメンツも考えると破格の値段と言えるかもしれません。
とにもかくにも、ファンにとっては想定の範囲外、予想だにしなかった来日公演は、最新作の変則的弦楽五重奏をバックにした豪華な布陣での来日となりました。
新作の選曲は、はじめ見た時、既発曲ばかりで表現するものが枯渇しているのでは?などと不謹慎なことを思ってしまいましたが、今回の公演を見て全て吹っ飛びました。
大袈裟でもなんでもなく、今回の来日公演は、生涯ベストに必ず入る圧巻のステージでした。
バックの弦楽五重奏とのシンクロの仕方が半端なく、もちろん彼女の歌声は圧倒的で、完璧な歌を披露しながら、その右手で五重奏をコンダクトすると言う恐ろしい才女ぶりを見せつけ、彼女の歌声と五重奏とライティングと曲に合わせた演出が、驚くべき高水準で繰り広げられる驚愕のパフォーマンスでした。
弦楽五重奏がスコアなしで、シルビアの右手一本で自在に音を操り、しかも即興的な演奏を織り交ぜながら演奏する姿は、ちょっと未知のレベルの演奏でした。
そして、何より素晴らしかったのは、曲ごとに身にまとう雰囲気を変幻自在に変えるシャンソンやファドの歌い手のようなシルビアのパフォーマンス。
陽気な歌を披露した後、ちょっとした曲紹介を終えて、フッと次の曲に入る時、一瞬にしてステージの空気が一変し、全く違う悲哀に溢れた曲に合う空気に変えてしまう。
その圧倒的な存在感には、約1時間20分のステージで何度も鳥肌が立った程です。
「歌で感情を歌う」
来日公演前日のスペイン国立文化センターでの講演会でシルビアが語っていた通りのパフォーマンスを完璧に遂行する姿に戦慄さえ覚えました。
彼女のレパートリーの一つ、L・コーエンの「ハレルヤ」を披露する時、長い髪を静かに束ね、後ろでまとめただけで、あっという間に彼女の「ハレルヤ」を歌う場が立ち上がる、その瞬間の崇高さときたら、大袈裟ではなく一本の映画を見ているような、そんな凄まじさがありました。
彼女のバックグラウンドにある、スペインのフラメンコ、ポルトガルのファド、ジャズ、キューバのジャズ、メキシコ、そして中近東あたりのグルーヴ。
あらゆるものが渾然一体となった彼女の声が、恐ろしい表現力を持って発せられていました。
始まって二曲目あたりで「これはヤバいやつだ」と確信するようなパフォーマンス。
終演までずっと滅多にお目にかかれないものを見た感でいっぱいでした。
もちろん、彼女のオーソドックスなギターによる演奏をみたいと言う欲望もあるにはありましたが、そんな欲張りな発想を吹き飛ばす圧巻のステージ。(実は講演会で、シルビアの弾き語りも見れたのですがw)
生涯忘れられない一夜になったのは言うまでもありません。
【ワンコインCD】チャド&ジェレミー Of Cabbage and Kings
60年代の作品の魅力は、60年代的な音や空気感が明確にあるからでしょう。
頂点にビートルズがあって、ビーチボーイズやストーンズ、キンクス、フーなどが醸し出すある種の空気と独特なサウンドは一度病み付きになると、中々抜け出せません。
かくいう私もそういう中毒の一人で、年齢的に体感していない癖に、60年代の音を聞くとノスタルジックな感傷についつい浸ってしまいます。
ビートルズの音は勿論60年代ならではなのですが、これがチープになればなる程に60年代の匂いのようなものを濃厚に感じられたりするのが、これまたコレクター泣かせだったするのです。
時代も過ぎて60年代好きのバンドが60年代チックなサウンドを作ると、わざと録音を昔っぽくしたり雑にしたりするのは、そういった匂いを演出するためだからです。
60年代のいわゆる名盤の数々は、色々な記事で知ることが出来ます。
サージェントペパーズを頂点に色々ありますが、ゾンビーズの「オデッセイ〜」、ホリーズの「バタフライ」、キンクスの「ビレッジグリーン〜」辺りが好みでしょうか。
それこそこの頃のアルバムは好き過ぎて、限定して選ぶのは不可能でしょう。
このチャド&ジェレミーの作品も、そんな60年代タイムマシーンの一つです。
当然ビートルズから派生する流れに乗った、60年代らしいサイケでイマジネイティヴな作品の一つです。
意外にもシタールやホーミーらしきサウンドが入っていたり、ナレーションや効果音、サウンドコラージュなどやりたい放題で楽しい。サイケと言うよりハーパーズビザールのようなバーパンクの匂いが強いように思います。
しかも曲も無難によく出来ていて、聞いていて気持ち良いことこの上ない。
プロデュースがサジタリアスなどを手がけた名プロデューサー、ゲイリー・アッシャー。
幻想的な側面や映像喚起力の強いサウンドプロダクション、正に同じ67年にリリースされたサージェントペパーズと同じ、もしかしたら構成などだけ取ればサージェントより攻めている作品かもしれません。
60年代好きの方なら聞いて損はない。こういうのが425円で買えちゃうCDインフレ時代。日本盤だったのでライナーなどを含めて考えればお得もお得。
ワンコインCDはやめられませんw
フジロック2018 出演者予想 第五弾アーティスト発表
第5弾出演アーティスト発表で当たりなし。
今回は仕方ないかなと言う感じです。邦楽アーティストも中堅どころがちょろっと。
マーク・リボーは嬉しいけれど、段々レギュラー化しているような…wマーク・リボーには陽の高い内の楽しみの一つになりそうです。
それにしても、今回の出演者、ファン以外で予想できた人とかいるんでしょうか?
それより今回は日割りがメイン情報ですね。
衝撃のディラン出演で、俄然日割りが注目されましたが、2日目ケンドリック、3日目ディランでしたね。
この並びは凄いですね。ケンドリック〜ディラン。これだけで世界有数のフェスの貫禄がにじみ出ていると言うものですw
さて、改めて俯瞰して見ると2日目が個人的には弱い…
1日目はエレカシ、ハナレグミ、マーク・リボー、ジョンホプが楽しみですね。
あと、最近音響、映像方面で面白い試みをしているサカナクションもどんなステージ、演出をするのか楽しみといえば楽しみです。
2日目は、今の所ケンドリックとMGMTくらい。MGMTも思い入れはないから、強いてあげれば程度ですwここにもう少しアーティストが来ないと弾まない感じですね。
3日目は、ディランは別格にしても、アンダーソン・パーク、ダーティ・プロジェクターズ、吸血鬼、ceroとあるけれど、これらがほぼかぶる可能性もある訳で、ちょっとビミョーな感じですね。
吸血鬼〜ディランって流れは不自然な感じもするけど、ホワイトのトリがダーティの可能性は大なだけに危険極まりない。アンダーソンだってトリの可能性は高いですしねw
タイムテーブル次第では結構かぶり過ぎの様相を呈す可能性もあるから怖いです。
個人的にはもう少しいぶし銀のアーティストが欲しい所です。早朝や夕暮れに合うようなベテランアーティストとかですかね。
個人的に予想とは別に希望したいのはエイミー・マンとかリアノン・ギデンスなどの中堅女性ボーカル。スフィアン・スティーブンスやニコ・ミューリー近辺、勿論アノーニとか。それにムーディマンも新作出すし、ジョンホプと並んで、これに砂原があったら泣いちゃうくらい嬉しいけどねえ。
勿論オルタナカントリーの面々、もしくはノンサッチのアーティストが出たら嬉しいけど、これを求めるのは完全に妄想なのでやめておきますw
これからの発表で渋いアーティストを期待したい。ジャズ系、インプロ系も来い!と願ってます。
7月27日(金)
-N.E.R.D
-サカナクション
-POST MALONE(NEW)
-ODESZA
-YEARS & YEARS
-ALBERT HAMMOND JR(NEW)
-エレファントカシマシ
-go!go!vanillas
-ハナレグミ
-JON HOPKINS
-MAC DEMARCO
-MARC RIBOT’S CERAMIC DOG(NEW)
-PARQUET COURTS
-ストレイテナー
-TUNE-YARDS
7月28日(土)
-KENDRICK LAMAR
-SKRILLEX
-BRAHMAN
-FISHBONE
-マキシマム ザ ホルモン
-MGMT
-CARLA THOMAS
-D.A.N.(NEW)
-ハンバート ハンバート(NEW)
-JAMES BAY
-JOY-POPS(NEW)
-MORE THE MAN
-NATHANIEL RATELIFF & THE NIGHT SWEATS
-小袋 成彬
-RANCHO APARTE
-シャムキャッツ(NEW)
-5lack
-STARCRAWLER
-SUPERORGANISM
-toconoma(NEW)
-ユニコーン
7月29日(日)
-BOB DYLAN & HIS BAND
-VAMPIRE WEEKEND
-CHVRCHES
-DIRTY PROJECTORS
-GREENSKY BLUEGRASS
-JACK JOHNSON
-ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS
-AWESOME CITY CLUB(NEW)
-BERHANA
-cero
-HINDS(NEW)
-HOTHOUSE FLOWERS
-鼓童(NEW)
-odol
-Suchmos
-WESTERN CARAVAN
【ワンコインCD】聞き耳を立てよ Billie Marten「Writeing of Blues and Yellows」
2016年リリース Billie Marten「Writeing of Blues and Yellows」。¥300也。
当時、結構話題になった弱冠17歳の天才ssw少女が放った傑作です。
J・ブレイクのように静謐でありながら奥底に激情が渦巻いている。全編ほぼアコースティックなのにサウンドが豊潤。
テクノとsswには、内に強烈なキャラと狂気を孕むと言う点で近親関係にある場合が多いです。
そういう点でも、そこはかとなくこのアルバムにも良質なテクノに近いものを感じました。
最近とみに聞かなくなったイギリスらしい哀愁さもあって、ブリティッシュ好きだった人間にとっては、その点でも魅力を感じてしまいます。
内容もさることながらアートワークも素晴らしく、D・ホックニーなどの表記もあり、そっち方面にも精通しているようで、アートワークだけでも只者じゃない感がビシビシします。
アートスクール出身のどちらかと言えば内省的な学生が、普段の印象からは想像できない力を発揮してみせた極私的な作品といった風情も良い感じです。
本当に17歳?恐ろしいものを感じますw
フジロック2018 出演者予想 箸休め第四弾発表
サクッと発表されましたね、フジロック第4弾w
まあ、ボブ・ディランまで出たら、もうメインはお腹いっぱい。
これからは朝から夕暮れあたりまでを充実した時間にする好みの中堅アーティストが決まる方が良いですからねw
よくよく考えて下さい。
ディランの裏のヘヴンで(私だったら)ニール・ヤングとかトム・ウェイツが出たとかw、ケンドリックの裏で(私だったら)ホワイトにパンチブラザースがガシガシやってたとかw。
結局体は一つですw分身の術も使えません。
メイン級が豪華になり過ぎてもいいわけじゃないんです。「かぶった〜」「結局移動時間を計算して諦めた」というのがフジロックは特にある。それでも楽しいのがフジロックとも言えます。
個人的にはケンドリックとディランは嬉しい。各会場のトリに贔屓なアーティストがいるのは、やっぱり得した気分になりますからね。
ディラン、ケンドリック、アンダーソン・パークもしくはDirty Projectorsがホワイトトリくらいで3日間なら結構文句なしと言えなくもないwあと夜中のジョンホプねw
トリ前あたりでMGMT、ヴァンパイアなどがあれば、結構楽しめるんじゃないか?など考えれば、あとはむしろ昼あたりに柴田聡子とかスカート、中村まりなんてのが出たり、早朝にエイミー・マンとか、サラ・ジャローズ、リアノン・ギデンズなど女性ボーカルなんかが出てくれた方が間違いなく楽しめる。昼間っからレッドでChaiとかもいいかもw夜中に砂原、tofubeats、あ、moodymannが決まったら泣くかもw
夜にヘヴンでティグラン・ハマシアンっていうのも良いなあwなんて夢もあるww
なんて、思いながらの第4弾!今回はハナレグミが当たり!無難なセレクトで手堅く当てた感が強いです。やっぱりハナレグミはヘヴンかなあ。ディランの裏で、ハナレグミ〜ユニコーンでヘヴンに邦楽好きを集めるとかあるかもしれないですねw
フィッシュボーンは、昔は好きだったけど今はどうなんですかねえ?さすがに体力も落ちているだろうし、でも現役でやってるんなら楽しめそうですけどねえw
期待せずに観たら、うっかりすごかったっていうサプライズがあれば嬉しいですけどw
邦楽としてはcero、エレカシ、ハナレグミと、フジロックらしいセレクトな上に間違いない感じなんですが、贅沢言えば意外性がないのが残念。
個人的には、エレカシ同様まだ出演してないのが不思議でならないカーネーションとオリジナルラブを待ち望んでいるんですけどねえw
とにかく、今後は粒よりだけどピリリと辛いアーティストを期待していますw。
ワールド系、オルタナカントリー系、あとジャズ系で粒選りなのを期待しますが、毎年叶ったことがないので密かに期待してますw
天才的パフォーマー、デビット・Bという二人
ボウイの死は大きなショックでした。ボウイらしい不意打ちが、なんとも複雑な心境にさせられたものです。
ボウイの死直後のコメントの中で、とある評論家が言った「ボウイはジャンルにこだわりがなかったんだと思う」という言葉が強く印象に残っています。
もっと言ってみれば「結構節操がなかった」のだとも言えると思います。
いわゆるグラムロック(ジギー時代)のインパクトが強いけれど、結構節操なく今時のスタイルに飛びついたのもボウイだったと言えるでしょう。
もう一人、貪欲にスタイルを変え続けるデビットがいます。
その名もデビット・バーン。
その飄々とした風貌からボウイのようなカリスマ性を敢えて避けているのだと思いますが、その活動を見れば時代を変えるようなセンセーショナルな所こそありませんが、確実に大きな影響を与え続けた偉大なパフォーマーと言っていいでしょう。
ワールドミュージックの拡大に大きく貢献した一人だったし、トーキングヘッズ時代のアフリカンリズムを取り入れたサウンドもセンセーショナルだったし、ライヴ映画の金字塔「ストップ・メイキング・センス」は今もってライヴ映像の金字塔だったりする。
バーンの功績は数え上げればキリがないと言っても過言ではありません。
とにかくデビット・バーンはボウイと同じイニシャルだしw、全くボウイに引けを取らない偉大なアーティストなのは間違いありません。
ただ、この人はボウイと違ってユーモアをこよなく愛しているのだと思います。
ロックが持つ宗教チックな危うさを嫌っているんだと個人的には勝手に解釈してますが、一環して面白真面目に音楽と向き合っているのは間違いありません。
どこか滑稽だったり、人を喰ったようなパフォーマンスが魅力で、個人的にはそこがバーンの大好きな所なのですが、まあ一般にはちょっと受けない要因でしょうw
Nonsuchからリリースされた久々のバーンの新作「アメリカン・ユートピア」は盟友イーノなども参加した意欲作で、このリリース後のテレビでのパフォーマンスがこれまた最高です。
これこそバーンならではのパフォーマンス。
バーンらしいユニークなパフォーマンスに一筋縄ではいかないハイブロウなバックトラックのギャップがたまりません。
精力的に海外のフェスにも出演しているだけにフジロック出演を期待しましたが叶いませんでした。懲りずに朝霧に期待したい所です。
バーンのアルバムはいつでも数年後に魅力がジワジワ効いてくるような不思議な所があるので、今のうちにチェックしておきましょう。
きっと数年後バーンのアルバムを結構頻繁に聞くことになると思いますよw