パンチブラザーズ来日公演 やっぱり凄い!期待を裏切らない!なのに…
フジッロックよりも期待度が高かったパンチ兄弟の来日公演。
最終日1stセットに行って来ました!
冗談抜きで現行アメリカンミュージック最重要バンドの一つと言っても過言ではないバンドの再来日公演だけに会場の熱気も半端じゃありません。
もちろん、今回もセンターマイク一本で、それぞれが距離やピッキングの強弱で楽曲を自由自在にアレンジング。コーラスも更に磨きが入ってましたし、何よりクリスのボーカル力が数倍アップしているのに驚きました。
そもそもバカテク集団で話題になりがちですが、個人的にはクリスのボーカルが好きというのと、ソングライティングに惚れ込んだ部分が大きいのですが…とはいえ、今回更に表現力が増しているのには震えを抑えられませんでしたねぇ。
期待を裏切らないというか、期待以上を放つ手腕は、まさにバンドの黄金期を迎えているのを如実に感じさせる圧巻のステージングでした。
ところが!ブルーノートゆえの悲劇と言いましょうか。
初日から1stセットと2ndセットで曲にかぶりなしというのは、クリスも宣言したとのことで事前に知っていました。
最終日もそうなるのは分かっていましたけれど…途中からこれは盛り上がりへと導く選曲じゃないか…と言ううっすらとした悪い予感がする選曲。
もちろんブルーグラスのスタンダードや新作からの曲も出てはくるけれど、どう考えても代表曲やアッパーな曲が出て来ないことが徐々に心配になってくるw
でもって1stセットも大団円を迎えるというw
ああ、これは2ndセットで大花火をぶちまくのは間違いないと言う、変な確信を感じる選曲だったのが切ない。
不満があるんじゃなくて、1st〜2ndの流れが素晴らしすぎて、クライマックスを前に退場を余儀なくされたような切ない気分に…w
案の定2ndセットは2回アンコールの大盛り上がり大会だったそうでw
もちろん2ndを狙ったけれど、売り切れだったんだから仕方ないw
兄弟が悪いとは言わないwと言うか言えないw
あれだけ素晴らしい演奏してくれたんだから笑顔で拍手を送りたい。でも、素直に拍手できない自分がいたのも確かなんですねえw
にしても、このジレンマたまりませんねえ。だからブルーノートって好きじゃないw
「新しいジャズ」に興味のある人もみんな集まれ〜 渋大祭
世間では「新しいジャズ」がもっぱら人気だけれど、おしゃれなジャズとは無縁の人気バンドといえば渋さ知らズが筆頭にあげられるかもしれません。
カマシ・ワシントンが好きだったら渋さをおすすめしたいし、ハイエイタス・カイヨーテが好きな人にも是非渋さ知らズをおすすめしたいけれど、なぜそっち方面に支持が少ないかといえば、はっきりおしゃれじゃないからと言えるんじゃないでしょうか。
フジロックにも何度も出演し、入場規制がかかったことも。
キングクリムゾンから電気グルーヴまでカヴァーする雑食性も、現在までの総メンバー300人と言う人数も日本のジャズシーンはおろか、世界のジャズシーンにおいても異端というしかありません。
オリジナル楽曲も、ソロパートのアドリブも楽しさの一つですが、何よりもスケールの大きい魅力的なメインフレーズの魅力に尽きるのではないでしょうか。
「ナーダム」「本多工務店のテーマ」「校庭」「ひこうき」など、イメージを想起しやすい映画音楽のような楽曲の数々は、ファンならずとも魅了されるのではないでしょうか?
」
その渋さ知らズが結成30周年を迎え、渋さ大祭りを開催するとのこと。
一体どんなメンツになるのか?と期待していたところ、予想以上にフェスらしいメンツになっていて、逆に驚いてしまいましたw
渋谷毅オケやROVO、栗コーダーあたりは、メンバーが渋さのメインを務めることも多いので、納得のセレクトですが、クラムボンや中村佳穂、クリックラックスあたりはちょっとしたサプライズだし、オシャレを求める人にもおすすめの出演者でしょう。
そして、スガダイローには是非生涯でも屈指のピアノソロと愛聴する「犬姫」でのプレイを期待したいところです。
今後の出演者としては梅津和時や山下洋輔、板橋文夫、内橋和久などレジェンド枠。サンラアーケストラやファンファーレチョカリーヤなど海外枠。シカラムータとかも面白い。
でも渋さらしく、異種格闘技的にテクノ系などと取っ組み合いなんかもあると面白いなあ。などと、夢想するのも楽しいフェスになってきました。
このフェス、もっとアングラに走るかと思ってましたが、一般層にも十分おすすめできるメンツが揃って、これから日本のジャズに手を染めようと思う方には、一度にかなり注目のアーティストが観れるお得なメンツになっていると思います。
興味のある方は是非に。
今日もどこかでクリス・シーリ、今日もどこかでマンドリ〜ン Snarky puppy編
その雑食性はいわずもがな、ワーカホリックな上に天才なクリス・シーリは神出鬼没と同時にパイセン、後輩関係なくクリスの蟻地獄に引き込まれてセッションさせられるのは、ここ数年の活動からも日常茶飯事です。
このスナーキー・パピーとの共演も珍しい映像ですね。
びっくりしました。そして何よりクリスちっちゃ!と言うのが感想ですねw
なんか痙攣してるな!って、その男こそがクリスでした。
もちろんクリスは、メルドーなどノンサッチ系列からジャズシーンにも目を配っているに違いないのでスナーキーもチラチラ横目で様子を伺っていたのでしょう。
このような共演を経て、またスナーキーのエキスをたっぷり吸収して新たな実験を試みるに違いありません。
この中にエスペランサもいるらしいんですが、分かりませんねえw
フジロック2019 日割りも発表、ぶっちゃけ1日目に固まり過ぎでしょうw
ついに日割りが発表されました。
大方出演アーティストは決まったということです。1日目のレッド、3日目のホワイトなどに穴がありますが、まあ大物が入ることはありませんw
誰もが思っているんじゃないでしょうか?初日に固まり過ぎだということをw
個人的にも中村佳穂、オリジナルラブ、七尾旅人、ウォーターボーイズ、ジャネール・モネイ、MITSKI、スガシカオ、ソウルフラワーユニオン、トム・ヨークと非常に固まっています。
それに比べて2日目がスカスカ感が否めませんwいや、個人的なアレですけどねw
クラムボン、Tempalay、オールウェイズくらいですw
そして、3日目。個人的には今年の目玉キュアーがヘッドライナーなので、そこは外せないんですけどハイエイタス、渋さ、スカート、ジェイムス・ブレイクと言ったところで、初日の固まり具合が余りにもなもんで、正直憤りを感じてますw
それにしてもマーティン・ギャレックスとか、フジロックにも波がきたという感じがしますねw若い層の取り込みもあるんでしょうが、orgでプッシュされても、やっぱりピンとこないというか「ジュリアナ東京」と何が違うのか区別さえつきません。
というかジュリアナの方が狂気がミックスされている分だけ面白みがあるような…
若年層の取り込みはフジロックも必要だと思います。正直、ここ数年の客層からすると高齢化現象の印象は否めませんし、頑張ってもらいたい気持ちはあります。
ただ、若年層も高齢層も取り込む使命(と勝手に言ってますが…)を孕むフジロックであるならば、もっとサプライズがあって欲しいなあと思います。
フジロックの奥といえば、なんだかコアな層がニヤニヤしながら集う場所で、フジロックじゃないと呼べないアーティストが結構出ていたものでした。
それが年々なくなっているのが切ないですね。
バンコク〜あたりはそういう匂いもありますが、とはいえ感があります。
もっと目線を変えた趣向のある企画とかあってもいい気がします。
今であれば大貫妙子、竹内まりあの海外再評価に合わせて、大貫妙子、細野晴臣をメインにジャパニーズポップスの変遷をなぞるようなラインナップとか、拡大するSSWみたいなキュレーター的な企画会場があっても良いと思うんですけどねw
なかなか奥に客が来ないって嘆いていた数年前。確かに集客がなければ難しいとは思うのですが、むしろ無駄(って言っちゃったw)があるからこそプラスαの客層が集まるんじゃないかと思うんですが…
来年こそオルタナカントリー的なアーティスト、ワールドミュージックの観点からのセレクトがあると嬉しいです。
懐底なし沼の才人 〜Paul Simonの底なし沼〜
ワールドミュージック系の方々へのちょっとした不信感があるとすれば、それは多様性を求めてWMへ傾倒していった筈が、いつの間にやらWM崇拝という狭い枠に固執するのが本末転倒のように見えるからかもしれません。
よりマニアックに音楽を求め、うるさ方になりたい気持ちもわからんではないけれど、どうもそういったジャンルに固執してしまうのは個人的に抵抗を感じてしまう。
そういった観点から最近とみに偉大だなあ…と思うのは、D・バーンとP・サイモンの二人だったりします。
この二人の音楽に対する探究心と柔軟性は、聞けば聴くほどに感心します。
二人ともベースとしてロックやフォークがあって、WMにはまりこんだり、ファンクへ行ったり、ジャズっぽいものやテクノめいたものにも行く。でも、不意にベースとなるジャンルに戻ってきて、音楽の冒険の進化を手土産に良作を生み出します。
S・ジャローズがP・サイモンをカヴァーしているのを聞いて、ふと思ったのです。
アメリカンミュージック再考があるとすれば、その核にはディランやN・ヤングなどがいるんだろうけど、P・サイモンは音楽のスクランブル交差点のようなアメリカという国の音楽を考える上では最重要人物の一人なんじゃないかとw
「P・サイモンのジャンルを横断するのは当たり前のように思えたけれど、相当すごいことだ!」と改めて思い、過去のアルバムを振り返ってみました。
元を正せば「コンドルは飛んでいく」はペルー、「スカボローフェア」はスコットランド民謡、「グレイスランド」のアフリカ、他にもプエルトリコなど様々な国の音楽をシレッと取り上げ、サイモン節に仕立てあげてしまいます。
その咀嚼と消化の仕方が、あまりにも自然体過ぎて、凄さが全然わからない。
でも、ふとキャリアを振り返ってみれば、そこには膨大な音楽探求の足跡が見て取れるのがサイモンの本当に凄いところでしょう。
本作は、彼のセルフカヴァー集です。
ですが、その参加メンバーをみると、サイモンの未だ衰えぬ冒険心が見て取れます。
ビル・フリーゼル、ジャック・ディジョネット、スティーヴ・ガット、ウィントン・マルサリス、そしてy-music!
今この集団を注目しておいて損はないと断言できるのがy-musicで、このタイミングで持ってくるあたりが、サイモンの探究心のなせる技としか言いようがありません。
このグループ、正に今もっとも輝いていると言ってもよくて、この後もB・ホーンスビーの作品への参加などワクワクさせてくれる活動を継続中。
そんな注目株を引き連れるサイモンは、ライヴ活動に終止符を打ちましたが、未だミュージシャンをやめるつもりはサラサラないようで、この作品での懐の広さにはもはやため息しか漏れません。
y-musicを交えたクラシカルな雰囲気の漂う曲からジャズのムードが漂う曲。勿論サイモンらしいフォーク系の曲もあります。様々な国の音楽が正にごちゃまぜ状態です。
個人的には盛り上がりところだった「HOW THE HEART APPROACHES WHAT IT YEARNS」はウィントンのトランペットが冴えまくり、ネイト・スミスの締まったドラムが心地よく、サリバン・フォートナーのピアノが見事に舞っています。
それに続くセカンドラインの演奏が軽妙な「PIGS,SHEEP AND WOLVES」への流れなどそんじょそこらの若造にはできませんって!
録音状態も最高で、私はアナログで購入しましたが、アナログ映えしてます。
ダウンロードコードも付いてます。正直買わんでどうする?と思える出来栄えです。
中毒性が高いのはテクノ BGMにテクノ ジョン・ホプキンスの絶妙なテクノ具合〜
ジョン・ホプキンスはテクノ畑では五本指に入るお気に入りのアーティストです。
あのレイハラカミがとりつかれたように聞いていたという逸話を聞いて手をだし、そのままその魅力の虜になりました。
ドラムンベース系のアーティストやデトロイト系より分かりやすく、一般の人でも受け入れやすい懐の広さがジョンホプの魅力ではないでしょうか?
イーノの右腕とも呼ばれ、御大からの信頼が厚いのも頷ける良心的なアーティストです。
特にジョンホプのアルバムの中でも美しさや親しみやすさのある「insaides」収録の「Light through the Veins」は、自分の中では砂原良徳の「Lovebeats」やエイフェックスの「boys/girls song」URの「windbells」などと並び、いつまでも聴いていたいフェイヴァリットテクノナンバーの一つです。
テクノでツボがはまった曲は、いつまで経っても飽きない。
ロックに比べて的中率は低いかもしれませんが、テクノで波長が合ってしまう曲の中毒性は非常に高く、底なしの酩酊を味わえてしまいます。
どちらかといえば、方法論や構造、その成り立ちもジャズに近いのだと思うのですが、そのため非常に泥沼化しやすく、ループしていつまでも聴いていたいと言う欲望がふつふつと湧いてきて非常に危なっかしい魅力がありますw
ジョンホプの「Light through~」もそんな一曲で、曲自体が閉じていないというか、無限の広がりを持つという意味ではアンダワの「Rez」や電グルの「虹」の系統というと伝わりやすいかもしれません。
テクノのお気に入りは大概が、その展開や旋律が完結していないというか、曲自体が閉じていないからこそ、いつまでも引きずってしまう。
歌ものに比べ、BGMとしても十分機能するけれど、集中して聞くと発見がいつもありいつまで経っても新鮮な聴く喜びがある。
個人的には読書のBGMには案外重宝していて、目を休めたい時に音に耳を傾けると、BGM以上の面白さがあるというジャズ同様重宝する音楽なのです。
特に個人的におすすめのテクノアルバムをあげると
砂原良徳/Lovebeat
reiharakami/red curb
この3枚はコルトレーンやローランド・カークと並んで、不滅の読書BGMアルバムとして愛聴しています。気が向いたら是非に。