Chieftains / Voice of Ages アメリカーナの源泉を辿る、そして、まとめる

 

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タナカン、アメリカーナ、なんでも良いですが、このジャンルの源泉の一つがアイリッシュトラッドです。

白人側のアイルランド、黒人側のアフリカを源泉とし、その大きな本流が一気に流れ込み合流したのがアメリカ大陸。そこに更に様々な国の音楽が混じり合って出来上がったのがアメリカの音楽と思っています。

現在、人種の分離が緩やかに進行しているように見えるアメリカ。残念ですが、その傾向が強くなっているように見えます。

その傾向が強くなればなるほどに、白人も黒人も自らの文化を誇りに思い強く主張をしていっているように見えます。

そして、皮肉にも白人側も黒人側も音楽は強度のある素晴らしい音楽が生まれているように見えてなりません。

タナカンシーンの原動力の一つは、もしかしたら人種分離の空気にあるんじゃないか?と秘かに思っています。

その原点といえるアイリッシュトラッドのゴッドファーザー的存在、チーフタンズ

彼らの結成50周年という驚くべき年月を経たチーフタンズの記念アルバムは、ちょっとしたタナカンショーケースとなっています。

リアノン・ギデンスが在籍したCCD、サラ・ジャローズもカヴァーをしたDecemberists、ジョー・ヘンリーとの共演ツアーも記憶に新しいリサ・ハニガン、最早説明不要のパンチ・ブラザース、独自の路線を突き進むボン・イヴェールと、50周年を迎えるベテランバンドの孫、下手すればひ孫のようなフォロワー達を集めた作品は、アイリッシュトラッドでありながら、その強固な伝統を突き破らんとするパワーを感じる作品になっています。

勿論、チーフタンズのアルバムだけにトラッド色は強いですが、それぞれの個性を活かした楽曲もあり、パンチなどは案外チーフタンズの土俵で真っ向勝負を挑んでいたり、ボン・イヴェールのように自らの個性を頑なに守っていたり千差万別です。

ある程度タナカン関係のアーティストを把握して、その実力やキャラクターを識別するのにうってつけの一枚かと。

チーフタンズはこれより前にも2枚、アメリカのミュージシャンと共演したアルバムを出していて、エミルー、ジョン・ハイアット、ウィリー・ネルソンなどが参加していて、それらを通して聞くと、タナカンの一つの流れが見えてきます。

そちらも是非。