Lucinda Williams /The Ghosts of Highway 20 ある境地、美しいギターアルバムより

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ルシンダ・ウィリアム姐さん。

彼女はそんな呼び名が似合うくらいいなせで、ここ数作で更に渋みを加えてきました。 

 

しかも、近年のルシンダ姐の作品は充実していて、前作から2年ぶりの新作ながら、前作「Down Where The Spirit Meets The Bone」に引き続き2枚組です。(前々作「Blessed」も初回はアコースティック盤がついて2枚組でしたが…w)

彼女が今どれだけ充実しているかが分かるリリースペースと言って良いでしょう。

しかも、今回の作品は全14曲。決して多い曲数ではないのですが、1曲が長いw

平均6分くらい。長いのは12分というタナカン系では異例の長さと言えるでしょう。

しかし、その内容はルシンダ姐がネクストレベルへ行ったかのような充実具合です。

クレジットされているギタリスト二人、グレッグ・リーズとビル・フリーゼル。

この名ギタリスト二人のギターに「right」「left」と丁寧にクレジットされいるように、ギターが右と左に分離されて鳴っています。

この二人のギターを中心に物語が紡がれる。

ルシンダ姐は最早熟練の極みとも言うべき、枯れたブルースを感じるハスキーなボーカルに集中し、二人の職人の表現力豊かなギターに全てを任せているような、そんな作品になっています。

しかも、ロック色を感じる激しいナンバーはほぼなく、どこか切ない、ミディアムテンポのナンバーが続きます。

しかし、不思議と殺伐とした印象ではなく、美しい、いつまでも聞いていたいような不思議な印象の歌が続きます。

ルシンダ姐初心者の人には、余りお薦め出来る作品ではないかもしれません。

派手さのある作品ではないし、取っ付き易いメロディの曲もありません。

しかし、ルシンダ姐の作品を辿ってきたファンにはたまらない一枚になっていると思います。印象的には「World without tears」に近い、内省的な彼女ならではの作品と言えると思います。

ルシンダ姐のボーカルに耳を澄まし、ギターの武骨ながら丁寧に弾かれる音の一粒一粒を拾い上げるように聴いていただければ、作品の素晴らしさを実感してもらえると思います。

これはアナログで買っても良かったなあ…とちょっと後悔しています。

 

スプリングスティーンのカバーも収録。これも堪らない魅力をたたえています。

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