凛としすぎてジャンル不明、決して揺らがないエイミー・マン
ここ日本では独自の人気や評価が海外アーティストには存在します。
日本だけで人気とか、海外では人気があるのに日本では意外な程人気がないなどです。
まあ独自の評価があって面白いし、だからこそチープトリックやクイーンのような逆輸入バンドが出るので良いとは思うのですが、その人気の落差のせいで来日もほぼ不可能になったりとファンには不利益が結構あったりするものです。
エイミー・マンもそんなアーティストの一人でしょう。
オーソドックスなバンドスタイルにこだわり、自らの歌詞世界を持ち、オーソドックスな美メロとエイミーならではの歌唱スタイルが良い味わいを醸し出す。
かなり聴きこまないと伝わりにくい魅力が揃っているアーティストと言って良いw
特に彼女の詩はアメリカでは非常に評価が高く、おそらく彼女のキャリアの中で最も知られている映画「マグノリア」は、エイミーの歌詞にインスパイアされて作られた映画で、それくらいの魅力があります。
ちなみにエイミーの話をして「ああマグノリアのサントラ持っている」という人は、エイミーをほぼ聞いていないとニアイコールです。
彼女のキャリアは決して順風満帆とは言い難いですが、そこでぶれなかったからこそ今のエイミーの立ち位置があると言えるかもしれません。
彼女のコンセプトアルバム「フォーゴットンアーム」は、ジョー・ヘンリーがプロデュースした傑作ですが、このアルバムは彼女のキャリアの中でも極めて特殊な作品です。
このアルバムを彼女は「モット・ザ・フープル・ミーツ・オルタナカントリー」と評していたそうですが、彼女の本来の志向は往年のポップミュージックにドラマ性やメッセージを巧みに込めたスタイルだと思います。
明確なコンセプトアルバムより一曲の中に世界があり、ドラマがあり、メッセージや救いの言葉が添えられる。
彼女が「初期ビートルズの歌が好き」というのには、そういう彼女の姿勢が表れているように思えます。
そういう意味ではファンの間でも代表作の声が高い「バチェラーNo2」がエイミーの一枚と言っても良いとは思います。
「フォーゴットン〜」で高い完成度のアルバムを作ったエイミーは、また3分間のドラマに回帰して行くのは当然の結果と言えます。
「スマイラー」や「チャーマー」と反動のように良質なポップソング集を出したのは、エイミーがアーティスティックになりたくないと思っているからのように思えます。
エイミーの歌詞がアメリカで非常に評価されている証明ともいうべき映像を見つけました。なんとオバマ夫人に招かれて、ホワイトハウスで演奏された時の映像のようです。
しかも僕が大好きな「Save Me」です。
こうやってキッチリと評価されていることを確認できるのはファンとしては嬉しい限りですね。