事件だったよ!全員集合! パンチブラザーズ来日公演

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今年のフジロックは終わっても、あの一抹の寂しさがなかったのは、パンチブラザーズの来日公演が控えていたから。

それぐらい待ち焦がれていたパンチブラザーズの来日公演。

「これは事件だ!パンチがライブハウスクラスの箱でやるなんて事件ですよ!」と狼少年のように言いまくっていたんだけど、予想通り反応は皆無でw

なんとか一緒に行ってくれる相方を見つけて行ってきました!ブルーノート東京

噂が噂を呼んだのか、来日公演最終日はソールドアウトとなり、会場はかなりホットな状態でした。

会場に入って驚いたのはステージ上にはマイクが一本。まるで漫才でも始めるかのようなステージで、モニターもスピーカーもなんもなし。

確かにマイク一本で演奏している映像ばかり見ているけれど、まさかモニターも何もないとは思いませんでした。

大人気なく会場に駆け込み、最前ステージ右を陣取って、その登場を待ちました。

 

その後、様々な人のライヴレポートを読んで知ったのですが、ステージ上の音響は凄いことになっていたそうです。

一本のマイクなのに全てのパートの音は頭上のスピーカーから聞こえてくる。

これはステージにあった、たった一本のマイクが超高性能マイクだったからだそうで、マイクに焦点を合わせたピンスポットライトの円の中の音は拾うけれど、メンバーの誰かが円の外へ行くと楽器の音どころか足音も聞こえないと言う恐ろしい状況を作っていたそうです。

高性能だけに楽器の音は拾う。しかし、その距離感は殆どないが為に、それぞれメンバーがマイクからの距離を計算しながら音のバランスを調整していたから、前へ出たり後ろに退いたりしていたというw。

 

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当然、そんなことは知らないで見ていた訳ですが、そのアンサンブルには驚かされました。

時にブルーグラス、時にプログレ、時に室内楽

楽曲、アレンジごとにその様相をガラリと変える七変化にも驚かされるし、それぞれの演奏の繊細さと大胆さ、そしてビーチボーイズばりのコーラスワークの美しさ。

どれを取ってもパーフェクトとしか言いようがありません。

ましてや、今回の来日公演で絶対聞きたかった「Familiarity」の再現ぶりときたら、もう美しくてため息も出ない…

B・ウィルソンがやりそうな組曲のような作品を目の前で繊細に、そして忠実に再現してみせる技量、これはリアルタイムでしか味わえないエキサイティングな瞬間でした。

その後の怒涛の演奏ときたら、最早ブルーグラスとかオルタナとかどうでも良し。

パンチブラザーズという超絶技巧バンドが、その現在進行形のアグレッシヴな作品群をブルーグラスという歴史あるジャンルのルールを踏まえつつ自由奔放に演奏するという一大エンターテイメントショーだったのです。興奮しないではいられません!

目の前で天才クリス・シーリーとその仲間達が見せてくれたプレイは、息を飲むジャンルやスタイルなどを軽く飛び越えた「新しい何か」でした。

ジャンルを破壊し、創造する者。ピアソラは、かつてそう言われました。

ブルーグラスというジャンルでそう呼ばれるに違いない男、それがクリス・シーリー。

そして、その革命を遂行するべく集められた凄腕集団こそがパンチブラザーズ。

その熱と腕前を満喫出来たのが、今回の来日公演で、それがライブハウス規模のスペースで観れたことを感謝せずにはいられません。

やっぱりパンチブラザーズの来日公演は事件でした!