変わらずに変わっていく  B・ホーンズビー「Absolute Zero」

何回か言っていますが、B・ホーンスビーは一発屋のイメージがあります。

日本で言うと「愛は勝つ」のKANのイメージでしょうか。

ところが、ブルースはその後、Greatful Deadに加入したり、独自の路線を進み、およそパブリックイメージとは逆のノイズメーカーズというバックバンドを付けてライヴバンドとして独自の位置を確立します。

噂ではデッドヘッズも足繁く通う、ライヴバンドになっているとか。

その雑食性は凄まじく、従来のアメリカーナ的なスタイルだけでなく、ザッパ?と思うようなホーンアレンジや、アイリッシュトラッド的なアプローチ、ブルーグラス、ジャズなど、ボーダレスな音楽性は大きな魅力になっています。

彼の新作は、さらにその冒険心を加速させた快作でしょう。

今大注目のy-musicやJ・ヴァーノンをゲストに迎え、アメリカーナ的なスタイルを崩すことなく、インディクラシックや現代音楽の要素を大胆に取り込んだり、アレンジをミニマルミュージックのようなアレンジにしてみたり、意欲的な作品になっている。

保守的なファンは反発するかもしれませんが、新しいファンを獲得する力のある作品でしょう。

ポール・サイモンの新作にも通じる大胆さは、今のアメリカーナシーンの流れを象徴しているのかもしれない。

B・ホーンスビーは日本では全く人気がないけれど、一歩間違えば新しいジャズで語られてもいいくらい洗練されていて、意欲的な作品を次々とリリースしてます。

特に「Here Come the Noise Makers」「Bride Of The Noisemakers」は、まずは彼らの魅力を知るのにうってつけの聞いてもらいたい実況録音盤です。

彼らの音楽は決して一つのスタイルに留まらず、多様な音楽をフラットに咀嚼してミックスしていく、アメリカのノーボーダーの良さを証明する好事例の一つです。

興味があれば是非。

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