未だ残響が止まらない〜ディアンジェロ「ブラック・メサイア」
久方ぶりにディアンジェロの「BM」を聴きました。
CDでずっと聴いていたけれど、たまたま安価なアナログを発見し、購入したからです。
2014年リリース。もう5年も経ったのかという感慨を持ちつつですw
強烈に印象に残っているのは、その年を象徴したのがディアンジェロとK・ラマーで、他のギターバンドや電子系の作品は比較にならなかったことでした。(個人比)
「時代は変わったなあ…と」
それくらいのインパクトと説得力が2作にありました。
作品についての諸々は、最早語り尽くされている感がたっぷりなので、置いておきます。
個人的に改めてアナログで聴いてみると、何よりベースを中心にどす黒いグルーヴが強烈で、ピノ・パラディーノ+クリス・デイヴの功績が大きいように思います。
(この点については、B・ハワードの新作と絡めて何かしら考えたい話ですw)
そこにはスライやプリンス、カーティスで感じるクールにうねり続けるグルーヴに巻き込まれていく快感を感じます。
もちろんそれを「ドス黒い」と言ってしまうことも可能ですが、個人的にはディアンジェロには黒も白もないボーダレスな印象があります。
だからこそ聴いていてプリンスやスライが想起させられるのです。
ブラックにしか出せない音でありながら、排他的な黒ではない感じでしょうか。
「ああ、プリンスはいないんだな。ディアンジェロはプリンスの後継者なんだな」という感慨を強く感じました。それはリリース当初には、勿論感じなかったことです。
プリンス逝去の報が流れ、個人的に驚いたのは同時期に亡くなったD・ボウイ以上にショックだったことです。
ボウイが大好きだった僕は、ここまでプリンスの死に大きな喪失感を感じるとは思いませんでした。
記憶によれば中学の最後に「パープル・レイン」〜「アラウンド・ワールド・イン・ア・デイ」あたり。高校の時に「ラブセクシー」と強烈なパンチをリアルタイムに受けたのも大きいとは思います。
しかし、比較するものではないですが、ボウイ以上にプリンスは唯一無二の存在だった気がします。
ディアンジェロがプリンスを追悼して早い段階でパフォーマンスを披露し、その楽曲が「Sometmes it snows in April」だったのは嬉しかった。というか共感しかなかった。
(その後、ミシェル・ンデゲオチェロもカヴァー)
決して代表曲として真っ先に出てくる歌ではないし、プリンスの中でも黒さがほぼ感じられない名曲です。
その歌を選んだことのディアンジェロの意図は何だったのか?
ブラックとしてのプリンスではなく音楽家としてのプリンスを念頭にセレクトした。
とか、考えられなくもないですが、何より「好きな曲」だったんだろうとw
「Sometimes it snows〜」の繊細な感じ、J・ミッチェルやJ・イアンからの影響を公言していたプリンスの繊細な部分や黒や白の括りに入りきらない広い感受性を持った才能に敬意を表したんだと思いたいw
ディアンジェロの現状最新作の「ブラック・メサイア」をプリンス逝去後に聞くと、一層プリンスの影響を感じてしまいます。
繊細なファルセットで歌えるバラードや、ジャジーでクールなファンクナンバー、決して熱くなりすぎないよう過剰に抑えた熱い演奏w
どれもがプリンスの教えに則っているように思えてきます。
その後、ジャネール・モネイなどプリンスフォロワーは後を絶ちませんが、やはりディアンジェロが最右翼であるのは間違いないように、やはり思うのです。
今聴いても傑作。全く色褪せることのないスケールの大きな作品でした。