ルシンダ・ウィリアムスの厚み world without tears

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先日、ネットで偶然ルシンダ姐の「world without tears」のアナログを発見して、即購入しました。よもやのアナログゲットw日本に入ってきていたこと自体が奇跡のようw

まさかアナログが入手出来るとは思ってもいなかったので、柄にもなく相当喜んでしまいまい、結構浮かれてしまいましたw

個人的にコステロやジョン・ハイアットなど、「この人が歌えば大抵聞き入ってしまう」、そういう特別なアーティストの一人です。

日本では殆ど語られることのないアーティストですが、ここ十数年、ルシンダ姐の充実っぷりは目を見張るものがあります。

ティーヴ・アールやグレッグ・リーズ、ビル・フリーゼルなど腕ききのギタリストを従えて、堂々たる作品を世に放ち続けています。

この人はカントリーと言うにはロック寄りだったり、演奏自体が結構一筋縄ではいかず、両親の影響もあってかジャズなどにも通じる自由さがあります。

そのせいかジャンルレスなところが結構あって、それが逆に一見さんお断りのような変な敷居の高さを作っているようにも思えます。

彼女の代表作は間違いなく1998年にリリースされた「Car Wheel on a Gravel Road」になると思います。

それまでデビューからパッとせず、レコード会社を転々とし、なぜかイギリスのラフトレードからアルバムを出すなど不遇の時期を過ごしています。

そんな彼女の出世作にして不朽の名作。ブルースやソウル、ロック、カントリー、アメリカの様々なジャンルの音楽がごちゃまぜになりつつ、円熟味を帯びた楽曲が並びます。

この時期のルシンダ姐の作品は、シンプルな4ピース編成なのに実に饒舌で感情豊かな演奏が聞けて、何を歌っても凄みのある充実した時期だったと思います。

その「Car Wheels~」の後、「Essence」を挟んでリリースされたのが本作で、「Car Wheel~」に比べると地味ではありますが、ルシンダ姐の絶頂期ならではの若くして滲み出ていた渋みがじわじわ効いてくる名作。

個人的には彼女のファンになったのは、このアルバムだったのでした。

夜中にじっくり聞けば涙の一つでもこぼれ落ちそうな丁寧に紡がれた歌の数々。ルシンダ姐らしいハスキーヴォイスでブルースばりの哀愁を堪能できます。

アナログの音が、これまた素晴らしく、lost highwayというと案外アナログは雑といった印象が強いのですが、この作品の音は十分エロいw肉厚な音が詰まっています。

ギターの音やルシンダ姐の声が艶っぽく響く良い出来のアナログで、CDにはない臨場感が堪能できます。

「Ventura」や「Those Three Days」などカントリーらしい楽曲も良いし、ちょっとワルツが入ったような「Over Time」などルシンダ姐にしては毛色が違う作品やファズギターが暴れまくる「Atonement」など聞き応えも十分です。

この後、ルシンダ姐は「ライヴ・アット・フィルモア」「ウェスト」「リトルハニー」とロックとカントリーの間を威風堂々と闊歩する快作を連発します。

まずはこのアルバムをじっくり聞きながら、最新作「Good Souls Better Angels」を楽しみに待とうなどと思っています。