明けまして おめでとうございます
いつも気ままにしかアップしていませんが、お付き合いいただきありがとうございます。
今年も気ままですwとりあえず昨年お世話になったアナログでご挨拶代わりでw
にしてもコロナでリスニング環境も大きく変わりましたね。
でもって、最近はライヴ盤をよく聞きます。と言うか昔からライヴ盤好きなんですけどね。
それにアナログとかアクティヴスピーカーとか、配信ライヴとかストリーミングとか、聴く環境が変わって、好んで聴くもの、購入するもの、古いもの、新しいものの価値が全部スライディング、スリップアウェイだった気がします。
で、聴きようによっては凄くフラットになれる良い時代なんじゃないかと。
実際、年明けはP・サイモンとディバインコメディとクリス・シーリとアルバート・アイラーとエヴァン・パーカーが並列で刺激的に思えると言うw
あとニューカマーで刺激的なヤツがあると凄く充実する気がする。
なんて思いつつ、2021年も良い音楽に出会いたいなあ…なんて思ってたけど、のっけからゲットしたのはウィリー・ネルソンのずっと欲しかったデラックス盤と言うw
まあ、ぼちぼちいきますw
字余りの魔術師 ディランとOCMS
アメリカーナ、特にカントリー寄りの2、3年前にリリースしたアナログとかが、かなり叩き値で売られるのを目にするとゲットする頻度が高い。
ここらを狙い目にする理由を説明すると長くなるので省きますが、ここらが当たりの確率が滅法高いのです。
OCMSは、ギリアン姐とツアーをしたりする実力派の中堅バンドで、カントリーシーンのポーグスのような存在と言うと分かりやすいかもしれません。
そのOCMSがディランのあのアルバムを丸々カバーしたライヴアルバムを出して話題を集めたのが数年前(日本では勿論話題にもなりませんでしたがw)
ディランの「追憶のハイウェイ〜」は個人的に最強のロックアルバムの一つと言い続けた者としては是非とも聞いてみたいと思っていたのです。
このアルバムが到着する前に本家を聞いて驚きました。何よりも今聞くと十分ポピュラーだし、演奏は非常に下世話で淫靡wだったのです。
で、問題のカバーアルバムを聞くと、一層ディランの偉大さを知ることになりました。
ディランの歌で個人的に強く思うのは、字余りの歌詞がディランならではの独特のグルーヴを作り出していて、それが大好きだと言うこと。
あの投げやりな歌い方がディラン節と思われがちですが、どちらかというとディランをディランたらしめているのは、このリリックの字余りが作り出すグルーヴだと思っています。
大げさではなく、この字余りが生み出すグルーヴを作り出す天賦の才能を持つのは、ディランと尾崎豊で強く思います。周囲の同好の音楽ファンには内緒にしていますがw
このカバーアルバムを聞いても、その自説に何の揺らぎもありませんでした。
字余りのリリック部分でディランの存在を強く感じずにはいられません。
勿論、それはOCMSにとって成功なのか失敗なのかは聴く人によって分かれるのかもしれませんが、個人的には非常に満足できる内容であると言っておきましょう。
ディランのカバーは好きなものが多く、名作を生みやすいと思います。
実はメロディが良いのに、ディランの癖が強すぎて印象が薄くなってしまうことが多いからだと思っています。
ただ、このライヴアルバムを聞いて思うのは、演奏自体は本家の方がストレンジな上に伝統に則っているのに大衆音楽的な印象を強く持つことです。
「ブロンド・オン・ブロンド」は、リリースから半世紀経ってもなお、その強靭なオリジナリティと普遍性、そして前衛性を持ち続けていると言うことでしょう。
名作の中の名作。追憶〜ブロンドのディランは、とてつもなく強力なブツだと改めて痛感させられます。
本家本元を、もう一度聞きたくなります。
ただ、ただ好きというだけ THE DIVINE COMEDY
とかく、ロックは時代性や革新的なスタイルなどを求めがちです。
興味を持つきっかけとしては、時代を象徴しそうだったり、革新的な作品であれば、手に取る機会は高まるのは確かではないでしょうか?
そんな中、個人的には四半世紀静かに応援し続けたバンドがあります。
DIVINECOMEDYというバンドです。
日本ではほぼ無名、当然人気もない。評価はといえば、バカラックもどきと言われてみたり、時代遅れのブリットポップ的な扱いばかり。
まあファンの私がいうのもなんですが、革新性がある訳でもなく、時代とリンクすることは皆無と言っても良いでしょうw。
しかし、これほど感性がジャストフィットするアーティストは他にありません。
年齢が非常に近く、小さい頃から英米のロックやチャートに夢中になっていたこともあって、恐らく同じような音楽体験をしているとしか思えないくらい嗜好が近いw
カヴァーする曲がことごとく好みで、ロキシーミュージックの「Oh Yeah」やFGTHの「Power of Love」、Magnetic Fieldsの「Book of Love」など、決して代表曲ではないけれど、個人的に大好きな曲ばかりカヴァーしてくれています。
当然オリジナルも、いちいちメロディばかりでなくオーケストラアレンジなど、細かいところで何度も感情を揺さぶられるので、ちょっと特別な存在なのです。
DIVINE COMEDYは、ニール・ハノンのソロプロジェクトで、今回結成30周年を記念するボックスセットが発売されました。
日本では全く人気がありませんが、イギリスやアイルランド、ヨーロッパを中心に特にフランスでは本国以上に人気があるようで、熱心なファンが多いようです。
勿論ビートルズやXTC、コステロなど伝統的な英国ポップスの伝統に則っていて、バカラックやマイケル・ナイマンなどの叙情性、D・ボウイ〜S・ウォーカーの系譜にも乗るボーカルスタイルが特徴でしょうか。
ただ単に好き。芸術的評価も時代性も、革新的なスタイルも関係なく、ひたすらメロディや節回し、バックのアレンジ、ボーカルスタイルなど、ごくごく当たり前な音楽スタイルがたまらなく好きというだけで、コツコツ四半世紀聞き続けてきました。
思えば遠くに来たもんだ
音楽を聞くことで、こんな感慨を持つのは初めてと言っても良いです。
そして、好きになったアーティストが人気や評価に関係なく(なくはないかw)ここまで活動を続けて来たことに、ちょっとした感動さえ覚えずにはいられません。
日本で彼の音楽を連綿と聞いている人は数少ないと思うので、もし、この文章を読んで少しでも興味を持った方がいたら、是非聞いてみて下さい。
過去の作品をリマスターで振り返ってみても、今更ながら改めて聞き惚れてしまいました。これから一枚一枚紹介できたらいいなと思っています。
ここ数年で個人的ベストと思える曲も、彼らの曲だったのが、少し気恥ずかしい。
でも名曲です。秋の夜長に是非w
ディランより偉いかもしれない ジョニ・ミッチェル「シャイン」(Joni mitchel "Shine")
ここ数年、ボブ・ディランの周辺は話題豊富で熱かったと言わざる得ません。
極め付けはノーベル平和賞で、誰もが驚き、ディランの偉大さに感嘆しました。
ただ、個人的には何度目かの絶頂期と言われるディランの最新作を聞くのさえためらわれるのが常だし、今も変わりません。
自分の中で最高のロックンロールアルバムは「追憶のハイウェイ61」と断言しているにも関わらず、やっぱり声の衰えや全盛期との乖離を考えると、そう思わずにはいられないのが本音です。
比べるものではないのですが、ディランの凄さを語る人の話を聞く度に、むしろジョニ・ミッチェルの方が凄いと思う自分がいるのです。
(世間一般が言う)ディランの代表作が「追憶のハイウェイ」だとすれば、ジョニの代表作はおそらく「ブルー」でしょう。
私もやはり「ブルー」をあげていました。その鮮烈な印象、強いキャラクター、「ブルー」は何度聞いても飽きない名盤の風格があります。
長年私にとっても、「ブルー」は最も愛するジョニのアルバムでした。
ところが、2007年にリリースされた「シャイン」に圧倒されてしまったのです。
もうしょっぱなから魅了されました。
後期ジョニのフュージョンぽさを感じつつ、躍動感のあるピアノと美しく、響き渡るソプラノサックスの音が持つ圧倒的な幸福感や迫力。
傑作ライブ「Shadows&Lights」から続く揺るぎのないジョニの美意識。
そして、ジョニの衰えるどころか魅力を増したボーカル。全編通して素晴らしい。
楽曲ももちろん素晴らしいのですが、それ以上に音が素晴らしかった。
ミシェル・ペトルチアーニのソロライヴと同等、いやそれ以上のメロディを忘れて音にだけ聞き入ってしまう録音状態。
音が跳ね、飛び回り、光り輝いているように思えました。
晩年を迎えたジョニの代表作の更新。これはとんでもないと思いました。
前作で引退宣言を出していたジョニが、5年ぶりにリリースした本作ですが、そこでこのような生命力あふれる作品を作れるジョニの凄みに圧倒されたものです。
そんな「シャイン」が初アナログ化と聞けば、聞かずにはいられません。(確かリリース時はスタバのレーベルからCDでリリースされたはずです)
アナログの出来栄えは?とワクワクしたのですが、これがCDの音質を超えていませんでした。いや、むしろCDの方がいいかもしれません。
圧倒的なバックの演奏に比重が行き過ぎていて、ジョニの音がこもってしまっているように思えるのと、ギターとサックスの音が前に前に出過ぎていてバランスが悪いように思えます。
リマスターをある種の批評と考えるならば、素晴らしいフレーズ、演奏を聞かせてくれるギターとサックスにスポットを当てるのは見当違いではないのですが、残念ながら全体的な音のバランスが崩れてしまっているように思えます。
とはいえ、改めてこの「シャイン」を聞くとジョニ・ミッチェルの偉大さを痛感します。
今もって色褪せない作品のクオリティ。
ご本人には失礼かもしれませんが、おそらくスタジオ録音としてはラストアルバムになるかもしれない本作が、ここまで生命力あふれる美しい作品であるとは。
今もって「輝き続ける名盤」です。
晩年近くのためにスルーしている人も多いにちがいない本作。未聴の方は是非。
アルバムのオープニングをここで。至福感あふれる幕開けをどうぞ。
時代錯誤で最高な一枚 「Rachael&Vilray」
今やアメリカでは闇に葬られた感のあるウディ・アレンは、こう言いました。
「1930年あたりのジャズは、まるでハチミツのお風呂に入っているような気持ち良さがある」
この言葉は、戦前のジャズやブルース。まだ明確にジャンル分けのできない「ただ単にポピュラー音楽としてあったジャズやブルース」の魅力を一番伝える言葉だと思います。
ジャグやジャイブやアメリカーナのポップな感じが好きな人だったら、間違いなくノックアウトされてしまうような楽しくて、小粋な作りの良曲が揃っています。
吾妻光良が好んでカバーする戦前のブルースにも、そのような最高にハッピーでハートウォーミングな歌が沢山あります。
こういった音楽は、今や絶滅寸前と言うより、絶滅保護されていると言っても良くて、これらを体系的に記録した高音質な音源があれば、本当に欲しいけれど、そのようなものは需要も存在もないようです。
さて、そのような音楽に偶然出会いました。
LSDのレイチェルがノンサッチからリリースした「レイチェル&ビルレイ」。
そもそもこの二人、学生時代からの知り合いなんだそうで、上記のようなジャンル分けしづらい音楽が好きだとは互いに知ることなく21世紀に入って、二人でこの作品を作ったとか。
そもそも聞いた時は良い歌を発掘して、うまくカヴァーしてるなと思ったのですが、これビルレイのオリジナルだそうで、まずそれにびっくりしました。
今時このような歌を作れる人はそうそういないし、作ろうとする人も稀なのではないでしょうか?
そして、何より演奏が素晴らしく、音が良い。
アナログ向けの音なので、私はアナログで購入して聞いていたのですが、ひょっとしたらと思って配信を聞いてみると配信でも十分臨場感のある良い音でしたw
そもそもの録音が良いようです。はい。アナログにこだわりがなければ、配信やCDでも十二分に歌と音が楽しめると思います。
ジャケットからもわかる多幸感溢れる一枚。こんな湿っぽい世だからこそ聞いて元気を少しでも出したい一枚です。
Lucinda Williams"Little Honey"(アナログ) メルカリも捨てたものじゃない
遅まきながらメルカリに手を染めていますw
主にアマゾンとユニオンを主戦場にしていましたが、メルカリにも結構お宝があって、しかも値段設定がざっくりしているので拾いものがあったりします。
ここのところルシンダ姐熱が再燃していまして、しかもやっちゃいけないアナログ熱w
出世作となった「Car wheel~」以降、「 Blessed」辺りを特に狙っていて、「Little Honey」のアナログを見つけた時は小躍りw、なんとミント状態というオマケ付です。
アナログ熱のきっかけは「World without tears」のアナログが叩き値だったので購入したことで、これの音がやたらと良かったんです。
シンプルなバンド編成のアレンジとルシンダ姐のハスキー声がたまらなくエロかった…。冗談抜きで。
アナログの面白さはCDと違って、ボーカルやストリングスに絶妙なざらつきやノイズの余韻が心地良かったりすること。
あと無音部分の濃度が以上に濃い作品は大抵良いですね。何か録音した時代の空気を圧縮して詰め込間れているような濃ゆい空気が漂います。
ルシンダ姐の作品はシンプルな作りなので、こういった部分がクリアに感じられます。
特にギターの録り方にもかなり気を配っているようで、ただでさえこの時期のルシンダ姐の作品のギターサウンドは絶品ですが、アナログでそれが一層映えています。
リリース時期は未だCD全盛だった頃なのでアナログはレアですが、かろうじてアナログもリリースされていたらしく、ポロっと売りに出たりするのでやめられませんw
「Little Honey」もエッジの効いた良い演奏を聞かせてくれる作品だけに音の仕上がりが楽しみ。
フジロックもないし、ピットイン辺りのジャズライヴハウスも当然アウト。
ライヴに行けないならアナログを買って、しっぽり家でアナログサウンドを堪能するのも一興ではないでしょうか?
感想は次回にでもw
先輩たらしクリス・シーリ、遂にヨーヨーマを落とすw Not Our First Goat Rodeo
以前、三軒茶屋でみた七尾旅人が内橋和久とライヴをやった時、七尾旅人の内橋へのいじりが激しくて、ちょっとヒヤヒヤするくらいでした。
先輩扱いがうまい、甘え上手。色々言い方はあるけれど、七尾旅人も先輩たらしなのでしょうw
先輩を先輩とも思わないのに、先輩も悪い気がしなくてかわいがる。
自分にはない才能なので、羨ましいことこの上ないw
さて、海の向こうで天才ぶりを遺憾なく発揮し続けているクリス・シーリもそんな先輩たらしの一人なんだと勝手に夢想している。
ヨーヨーマ、スチュアート・ダンカン、エドガー・マイヤーといった錚々たる顔ぶれを前にして、気後れするどころか普通に主導権を握る振る舞いw
それに対して無邪気に笑うヨーヨーマの笑顔を見るに、クリスの先輩たらしは本物と考える方が妥当でしょう。
前作「ロデオ・セッション」でも4人で新しい音楽を作ろうとする気概を強く感じさせましたが、続編ともいうべき「Not Our First Goat Rodeo」の映像を見れば…
映像を見てもらえばわかるように、最早クリス・シーリ色全開ですw
パンチのアグレッシヴさに加え、ヨーヨーマが展開していたシルクロードプロジェクトの中国風のグルーヴなどが加味されてクリス・シーリがパンチで築き上げた世界観にプラスαを加える快作に仕上がっています。
前回も参加していたイーファ・オドノバンも参加し、正に前作の成果を糧に、もう一度作品を深く進化させるための意欲作と言うにふさわしい出来栄えです。
ブルーグラス、ジャズ、クラシック、テクノ、ソウル、あらゆるジャンルを縦横無尽に越境するクリスの驚異的な音楽的感性は、アパラチア、アメリカ、アイルランド、中国など各国の文化をも飲み込み、驚異的なスピードで広がっています。
実は発売決定と同時にアナログを予約したのですが、なかなか来ず、我慢しきれずにスポーティファイで聞いてしまいましたwアナログは明後日到着する予定とアマゾンからアナウンスがありましたけどw
こんな天才の活動を同時代進行で味わえる喜びに鳥肌立ちまくりです。
クリスの才能を存分に味わえるタイニーデスクでのパンチの楽曲などのライヴ映像も至福です。ぜひ観てみて下さい。