クリス・シーリー『How to Grow a Woman from the Ground』

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2006年に発表した5枚目のソロ・アルバム『How to Grow a Woman from the Ground』

この作品で集まったメンバーが母体となってパンチブラザーズが出来たとあれば、実質1stアルバムといっても良いかも。

何よりブルーグラス界のジュード・ロウ、奇才、天才、ワーカホリック、闘うマンドリニスト、どう読んでも構わないが、クリス・シーリーが21世紀のブルーグラス界の最重要人物の一人なのは間違いないでしょう。

何せポップソングアプローチのニッケルクリークを再結成、パンチブラザースは着実に作品を作り重ね、ソロではバッハをやったり、ヨー・ヨー・マと共演したりと八面六臂の大活躍とはこのこと。

そのクリス・シーリーの本作は、未だ歌も初々しく、その底なし沼のような奇抜なセンスと驚異的な咀嚼・吸収力と放出力は未だなりを潜めています。

そこそこ王道のブルーグラス的なものや、アイリッシュトラッドの文脈に沿っており、その後のクリスの作品に比べれば、安心して聴ける真っ当さがあります。

パンチで見せる奇抜で変幻自在な演奏を期待すると肩すかしを喰らったように思うかもしれませんが、この作品はこの作品で、好みのトラッドミュージックが聴けるので、愛聴しています。

表題作は特にお気に入りで、日本だったらウィスキーのCMで使われてもおかしくない哀愁漂う名曲です。

この作品を聞くと、クリスがちゃんとしたベースの上に現在のボーダレスでアグレッシヴな活動をしている事がよく分かります。

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