ジョン・ハイアット 元々若さなんてなかったからw
ジョン・ハイアットの現状最新作「Termsof My Surrender」をアナログで購入。
相変わらず、でも聴けば聴く程に味わい深い。まあ、これも相変わらずだけどw。
ここ数年で更に渋みが増し、変わらずに変わり続けているといった印象です。
こういった良質なアメリカンロックを聞くにつけ、「どれを聴いても同じ」と言い切る人の浅はかさを感じずにはいられません。
ジョン・ハイアットのアルバムは、聴けば聴く程に熟練と成熟という変化があり、更にブルースやカントリーといったアメリカーナのルールに則った挑戦が垣間見えます。
聴き重ねる内に、その変化を堪能するのが、こういったアーティストの極上の楽しみだとさえ言えます。
大体、若さや目新しさばかりが重んじられるのもどうかと思う時があります。
近年の日本の若さへの無防備な賛美みたいなものの方が不健康ではないでしょうか?
自然に逆らった不自然な発想は、ある種のビョーキとさえ個人的には思えます。
元来若さとは無縁だったジョンの作品は、常に成熟を見据えた作品でした。
出世作「ブリング・ザ・ファミリー」「スローターニング」「ストールン・モーメンツ」と続いた傑作の連発の時でさえ、若さより渋みが先に立っていた。
痛快なロックンロールであっても、そこには若さより成熟への憧れが底流にあったように思えます。
そして、コンスタントに新作をリリースし続けているジョンの新作は、増々バラエティに富んだ素晴らしい作品に仕上がっています。
永くつきあって来たリスナーにとって、この充実具合は喜び以外の何ものでもない。
積み重ねた年月が、更にその感動を深くさせていることに気付きます。
ハワイアン、ブルース、ワルツ調、アメリカンロック、何でもござれでありながらジョン・ハイアット節は健在で、聴けば「久しぶり」と軽く挨拶を交わしたくなるような、そんな快作に仕上がっています。
是非、彼の作品に耳を傾けてみて下さい。出来れば軽く聴くのではなく、じっくりとその音や間や、ギターの歪みの一音一音に耳を傾けてみて欲しいものです。
そこには何ものにも代え難い、年月が築き上げた熟練の妙が聞き取れる筈です。
それを人は「熟練」「成熟」と呼んでいます。