大物の予感しかしない Sarah Jarosz / Song Up In Her Head

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タナカンシーン(私の勝手な妄想w)で、今一番ホットなアーティストはサラ・ジャローズだ。

女帝エミルー・ハリス、そして、その後を受けるギリアン姐、ロックサイドからのアプローチをするルシンダ・ウィリアムス姐と確実に世代による名シンガーを生み出している充実したタナカンシーン。

ここにきてシンガーとしての才覚をめきめき発揮しているリアノン・ギデンスが、コステロやT・ボーン・バーネットといった大御所に気に入られ愛でられているが、個人的にはサラ・ジャローズこそ、次代を担うアーティストなのは間違いないでしょう。

現在三枚のアルバム、一枚のライヴミニアルバム、シングルをリリースしているが、既に大物の風格を漂わせる充実した作品群で、正直駄作は一枚もありません。

出色は3rdに収録されたディランのカヴァー「Simple twist of fate」で、ベース一本をバックに朗々と歌うサラの威風堂々として立ち姿には感動さえ覚えました。

有無を言わさぬ説得力。アーティストとは言葉にできない「何か」を持った者こそが本物であり、サラにはそういった無言の説得力と言う名のオーラが出まくっています。

後追いになってしまいましたが、2009年にリリースされたサラの記念すべき1stアルバムを聴いて驚きました。

既にこの作品の一曲目にして、堂々たる風格が漂っているのです。

雑貨屋で「私のお気に入り♡」なんて感じで売っていてもおかしくないファンシー系のちょいダサのジャケットからは想像出来ない充実っぷりです。

それもその筈。この作品のゲストが凄過ぎる。

ジェリー・ダグラス、ダレル・スコット、ティム・オブライエン、アビゲイル・ウォッシュバーン、そして天才クリス・シーリ。

キラ星のようなタナカンシーンのスター、ベテランが勢揃いしたゲストからもサラが1stアルバムからして多くの期待を集めていたことが分かります。

勿論内容はパーフェクト。新人とは思えない微かにハスキーなサラのボーカルと、繊細かつ大胆なバックバンドの演奏が相まって、とてもじゃないが新人のアルバムとは思えない風格が感じられます。

とにかくバックの演奏がリッチです。細やかなストリングスアレンジ。サラの堂々としたボーカルを引き立てるアレンジ。タナカン系のアルバムにはお馴染みのインストも、贅を尽くしたスリル満点の演奏で聴く者を魅了してやみません。

T・ウェイツの「Come on up to the house」もトムのイメージとは真逆の、ちょっとコミカルは感じさえ漂うアレンジにしており、ポッと出の新人とは思えない大胆さ。

ライヴでも結構披露している「Shankill Butchers」もThe Decemberistsのカバーで堂に入ったものです。

とにかく全てが破格のアーティストといって良いサラ・ジャローズ。1stで既に完成した世界観、スタイルで次々と傑作をリリースします。

カヴァーもディランからレディオヘッドまで、その消化力は並大抵のものではなく、オリジナルも勿論聴き所満載。

今後が期待されるサラの新作は、今年の6月リリースです!

とにかく名前だけで良いから覚えて帰って下さい!

 

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