fujirockより熱い? その頂が我々には想像さえつかない パンチブラザース来日公演
夏を前にして、フジロックで盛り上がっている人も多いはず。
当然、苗場のあの場所で、あの雰囲気で過ごす至福の時間は、一度味わったら忘れられないものです。行った人じゃなきゃ分からない。
そんなフジロックが終わっても、楽しみがまた一つあるとしたら?そりゃあ良いに決まってます。
そんな人に朗報です!8月にパンチブラザースが遂に日本でライブをします!
勝手にアガってます。勝手に盛り上がっています。
そういう人が、日本に数百人きっといるはずw
苗場が良かった。パンチも苗場でやってくれれば良かったのに…。本音はそうですが、来日公演がブルーノートって、ライブハウス規模の会場でやってくれるのであれば話は別です。
パンチの超絶プレイを至近距離で観れるチャンスなど、そうそうありません。
世界最高峰のストリングスグループ。マンドリンやバンジョーであらゆる音楽スタイルを片っ端から喰らい、我が物にしてしまうスーパーバンド。
それがパンチブラザースです!
まずは、映像を見てもらいましょうw
どうですか、この表現力。このポップ性。
パンチブラザースは天才マンドリン奏者のクリス・シーリーが自らの理想とする音楽を表現するために同世代の腕利きプレイヤーを集めて作ったグループです。
うっかりすればテクニック重視になりがちなブルーグラス。結構評価自体がテクニックのある、ないだったりすることが多いジャンルです。
その中で抜群のテクニックを持つクリスがテクニックを見せ付けるばかりのグループを組んだとしても不思議ではありません。
当然パンチをそう言ったグループにしても、それなりに人気が出たでしょう。
しかし、クリスは違った。あくまでもポップ性や音楽性を重視し、テクニックはそれを形にする為の強い武器としたのです。
そのクリスのスタンスは、彼のパンチ以外の活動を俯瞰してみれば見えてきます。
再結成を果たしたニッケル・クリークはポップスを探求するバンドでしょう。
サラ・ワトキンスのハイトーンヴォイスを活かし、まるでネオアコのような清々しいポップソングをブルーグラスのルール上で展開しています。
結構ブルーグラスファンがニッケルを嫌うのは、ポップソングだからでしょうw。
このバンドの魅力は、あくまでもブルーグラスのルールの上でポップソングを明快に演るところにあります。普通に良いポップスがブルーグラスのルールの上で鳴らされるからこその新鮮さが魅力です。
そして、ソロは更に前進するための実験の場です。
バッハをマンドリンで演奏したり、ヨーヨーマと共演したり、同世代のブルーグラス、タナカンアーティストと共演したり。
音楽の幅が圧倒的で、彼が新たなる刺激、新たなる表現を得るために常にチャレンジをする場が「クリス・シーリー」というソロ名義です。
ポップソングと実験的音楽の両極。ニッケル〜ソロで得たものを巧みに練り上げ、ポップであり先鋭的な「音楽」を築き上げるのがパンチのスタンスだと思います。
分かるでしょうか?パンチは殆どB・ウィルソンのようなポップソング組曲のような曲もあれば、明快な3分間ポップソングまで縦横無尽に演り続けるのです。
そして、ここまでくると選ばれし民としか思えないのは、クリスがヴォーカリストとしてもドンドン実力をつけていることです。
クリスの初期、パンチの初期を聴くと、クリスがヴォーカリストとして発展途上だったのが分かります。
徐々にヴォーカリストとしての腕を上げているのには驚くばかりです。
クリスは、ヴォーカリストとしての魅力は、努力で手に入れたのではないか?と思っています。
それはパンチブラザースを「彼が想定する頂」へ上がるための越えるべきハードルだったのではないか?と思っています。
クリスがパンチブラザースで、どのような頂を目指しているのか?
凡人の私には計り兼ねます。しかし、その頂はとんでもないものに違いありません。
彼らの作品から滲み出る「凄み」から、かすかに垣間見える「片鱗」にワクワクしないではいられません。
このような興奮を覚えるのは久々です。
ポップでありながら、ちょっとアヴァンギャルド。
大好物の音楽を、そう例えることが多いですが、パンチブラザースの音楽は、正しくそう言った音楽なのです。
あのツェッペリンの隠れたキチ○イ、ジョン・ポール・ジョーンズをして「クリスはクレイジー」と評すのはなぜか?
いつもパリッとスーツを着ていることが多く、バンジョーを片手にブルーグラスやオルタナカントリーといった、どちらかといえば音楽的優等生と言っても良いジャンルで活躍するクリスを「クレイジー」と評しているのには、逆に「只者じゃなさ」しか感じませんw
最後はYouTubeで掘った映像の中では、現状、最も魅力的なパンチの映像。
ブルーグラスの定石を踏まえた抜群の演奏からのパンチならではのスケールの大きな演奏へと駆け上がっていく構成の妙。絶品としか言えません。
もう、来日公演が楽しみで仕方ないです!