ギリアン姐さんが頑張っている
今年、これ以上にワクワクする新譜はないだろうと思うくらい楽しみにしていたB・メルドーとクリス・シーリの共作は、その期待を上回る出来でした。
ジャズとブルーグラス。
共に日本人にとっては敷居が高いジャンルの頂きに立つ二人の共演であれば、難解なものになるかもしれない…とも思いましたが、むしろ素晴らしいポップアルバムに仕上がっており、やはり天才は違うと唸らされました。
B・メルドーのピアノがクリスのバンジョーに煽られ、メルドーのベースタッチにクリスが煽られる。
この高みへと上がっていく理想的な循環が、作品を躍動感のある快作を作り上げていて、聞いていて爽快な気分にさせてくれます。
その記念すべき共演作に収録された「Scarlet Town」はもちろんのこと、日本盤のボートラに収録されたのが「Dark Turn of Mind」。共にギリアンの楽曲です。
クリスもサラ・ジャローズ同様、ギリアンのファンなのでしょう。ソロ名義でも「Way Side」をカバーしており、ギリアンのカヴァーはお手の物です。
そんなギリアンリスペクトに刺激されたのでしょうか?遂に!というのも不思議ではありますが、最新作「The Harrow and The Harvest」のアナログ盤リリースが決定しました。
ギリアン姐の音楽を知るファンであれば、むしろ「アナログでこそギリアン姐の歌は映えるんじゃないの?」と思うことでしょう。
調べた限りではアナログでリリースされたのは「Soul Journey」だけで、これも現在入手困難になっています。何枚リリースされたかも定かではありません。おそらくごく少量のプレスだっただろうと思います。
彼女の数少ないオリジナルアルバム(ほぼ20年のキャリアで!)5枚と言う寡作さではありますが、「The Harrow and~」が、二人のキャリアの中でも傑作の一つであるのは間違いないでしょう。
既に孤高の存在であり、ギリアン姐とデイヴ兄ぃしか到達しえない境地にいると言っても過言ではなく、バンドスタイルで録音された「Soul journey」から、またもや二人のみの演奏へ回帰、見事な静謐さ、静けささえ聞かせてしまうサウンドには惚れ惚れしないではいられません。
そして、この作品での聴きどころの一つである「Dark Turn Of Mind」のPVがアナログリリースと同時に公開されたのも「分かってる」感が強い。
当たり前のことだけれど、二人が一番二人の魅力を分かってるってことでしょうw
オルタナカントリーファンであれば、ギリアン姐の作品をアナログで聴くことに特別な意味があると思う人は少なくないはず。
今回のアナログリリースが、特別な意味を持つのはリリースされて2年を過ぎてからリリースされることからも分かると思います。
ちょっとでも興味を持った方は是非。決して損はしないはずです。