それは初期ビートルズのそれの位置づけw シルビア・ペレス・クルス
来日をきっかけにシルビアの情報が入るようになって嬉しい限り。
再来日公演は、公演時間に物足りなさを感じるものがあったとはいえ、素晴らしい内容とシルビアの歌い手としてのスケールの大きさをまざまざと見せつけられるものでした。
シルビアのアーティスト志向がドンドン大きくなり、最新作「Vestida de nit」で炸裂した印象がありますが、彼女がかつて在籍したlas migasの音源は、なかなか入手が難しい状態にありましたが、めでたくアナログで再プレスされ、少しだけ入手しやすくなったのはファンとしては嬉しい限り。早速入手しました。
配信では早くから聴けるようにはなっていましたが、ここはアナログで入手したところで感想を少し。
本作は近年のシルビアの少々重厚でアーティスティックな作品と一線を画し、バルセロナ出身の彼女の歌い手としての剥き出しの魅力を味わえる傑作と言えるものです。
カタルーニャ地方の伝統的な歌にフラメンコ、ファドなどの要素が加えられた多国籍音楽でありつつ、若さを強く感じる好盤と言えるでしょう。
特にアップテンポな曲での堂に入った歌唱、アラブ地方のグルーヴにも似たエキゾチックな歌唱などは、この頃の方が魅力的とも言えます。
すでにバンドのスケールを上回っているのが見て取れますが、とはいえlas migasもかなり腕の立つメンツのようで、決してシルビアに負けていない。
楽曲もメンバー合作のものやカヴァーがあるようですが、非常にクオリティが高く、シルビアの隠れた作品の域からは優に逸脱した内容になっています。
強いてあげれば後期のコンセプトアルバムに比べて、芸術性では劣るものの、楽曲としてはそのポップさや聴きやすさ、シンプル故の魅力を醸し出す初期ビートルズのアルバムのような印象を受けます。
サージェントやホワイトアルバムもいいけど、ア・ハード・デイズ・ナイトの3分間マジックも捨てがたいというような印象でしょうか。
とにかくシルビアのキャリアを俯瞰する上で重要な作品の一つなのは間違いありません。
個人的には結構繰り返し聞いてしまう、若きシルビアの魅力を満喫できる作品です。
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