フジロックに来たら卒倒ものw 余りにも器用貧乏Patty Griffin
オルタナカントリーシーンでは、重要人物の一人パティ・グリフィン。
ソングライティングは女帝エミルー・ハリスからもお墨付き。タナカンシーンのベテラン勢からロバート・プラントまで、彼女のコーラスや歌唱力に全幅の信頼を置き、サポートすること数知れません。
その実力は、キャリアを見ても相当なもの。引っ張りだこと言って良い。
しかし、こと日本での評価はタナカンの過小評価以上に知られていない。
そのか弱そうな風貌から直球カントリーに勘違いされるし、実際そういった王道路線もしっかりこなせる実力と器用さがあります。
しかし、彼女の作品を辿っていくと、そのスタイルの多様さに驚くでしょう。
かく言う私もプラントとの共演作などを聴き、気が利いたカントリーシンガーくらいに思っていましたが、聴き込んでいくと、その風貌からは想像出来ない骨太なサイケロックやチープトリックばりのパワーポップと思えるようなものまで幅広くこなせる実力派と分かるでしょう。
このようなジャケットからは、カントリーのプロトタイプを想像しても仕方がないでしょう。
しかし、2013年に発売された「Silver bell」を聴いた時、底知れない人という印象を強く持つに至りました。
勿論パティらしい王道のカントリーも収録されていますが、それ以上に幕開けの「Little God」が強烈。
ジェファーソンエアプレーンの「ホワイトラビット」を彷彿とさせるサイケロック調の曲で、ギターはうねり、美声を誇るパティが良い案配にシャウトしています。
しかも、それが堂に入っているどころか、引き込まれそうな程のド迫力です。
この容姿からは想像が出来ない力強さこそパティの魅力かもしれません。
とにかく表現力、懐の深さで言えば、タナカンシーンいちかもしれないパティ。
ほぼハズレなしの秀作揃いなので、タナカンに興味がある方なら気に入ってもらえる筈。特にロックよりの「Silver Bell』、カントリーよりの「Amerikan kids」と近作は充実していると思います。
こういうアルバムでは計り知れないアーティストこそフジロックで見てみたい。
アーティストイメージでロックとカントリーが区別されてしまう傾向がありますが、このボーダーラインは極めて曖昧なものです。
ルシンダ・ウィリアムスはロック、パティ・グリフィンはカントリー。雑に言えばそういったイメージがありますが、両者は非常に近しい存在です。
ルシンダも大好きですが、その懐の深さで言えば、パティの方が上。正直、実力だけで言えばパティに軍配があがるのでは?
ただ、それでアーティストの評価が決まる訳じゃないのが、音楽の面白い所ですけどw