隠れた名盤候補筆頭 Bonny Light Horseman
アメリカーナを定義付けするという難題を自分に課したりしているのだけれど、これに対する答えはないと思っていて、移民たちによってアメリカでグチャグチャにかき混ぜられたミクスチャーミュージックというしかないでしょう。
だからこそジャズやカントリー的なものが筆頭に上げられるのでしょうが、個人的にはヴァンダイクパークスやランディ・ニューマン、リトルフィートあたりは原点の一つなんじゃなかろうか?とぼんやりとですが思っています。
そういう意味でもノンサッチはアメリカーナの震源地と言って良いと思っています。
今回猛烈に推したい隠れた名盤『Bonny Light Horseman」は、そんなアメリカーナに括られるのだろうけど、かなりアイリッシュトラッドやカントリー寄り。
ただ何処か音の耳触り、音響的なところに重きが置かれていることもあって、懐かしいのにどこか新しい印象が残ります。
そういう意味で、私はチーフタンズの「ロングブラックヴェイル」に近いものを感じたのですが、更にグランジやHiphopを通過した21世紀らしい感性を感じました。
特に不勉強で知らなかった女性Voのアナイス・ミッチェル。この人が素晴らしい。
全く知らなかったので、過去の音源を焦って聞いてみたのだけれど、リッキー・リー・ジョーンズに近いロリータヴォイスですが、彼女と同じくフォークや戦前のジャズ、ワルツ、カントリーなどを好む多彩な感性の持ち主らしく、まさにアメリカーナのど真ん中という印象でした。(自分比)
カントリーやブルーグラスの短所と言っていい能天気さを取り除き、極私的、内省的感性を持ち込んでいるところが新世代アメリカーナらしさとでも言っておきたいです。
とにかく駄曲なし、サウンドに無駄なし、効果バッチリな名盤です。
なかなかお目にかかれない完成度だと思います。リサ・ハニガンが絶賛するのも頷ける、久々に興奮する内容と出会いのある一枚でした。
激おすすめです。