フジロック2019寸評 憑依体質のイタコジャズw 中村佳穂
初日朝一、これだけヘヴンに人が集まっている光景に驚きました。
今年の夏フェスの台風の目。フェス参加頻度の高さが注目度を如実に表しています。
その魅力は正にライヴにあります。
第一印象は(いい意味ですよw)イタコ。とにかく音と戯れる姿が美しい。
アルバムでは見えてこない音の粒というか、音楽の躍動感のようなものが中村佳穂の演奏や動きを通して目に見えるという感じでライヴを見る醍醐味がある。
裏テーマにしていたテクノロジーの進化によるライヴの総合芸術化とは真逆の魅力を持った中村佳穂を初日一発目に見るというのも皮肉ですが、そこはそこですw
イタコの次に思い浮かべたのは憑依型女性アーティスト。そう、大竹しのぶでしたw
音楽が降りてくるどころか、取り憑かれている感が凄い。
特に中村佳穂の所作が、まるでダンスのような、パラパラの腕の振りのような、音を表現しているように見え、無意識の中で振られているが故に美しい。
唯一いえば、少々楽曲のバリエーションが狭いかも。
とはいえ、今年夏フェス注目度ナンバー1の中村佳穂は、今後も見逃せない存在です。
フジロック2019 豪雨もなんのその、刺激的な3日間 総評
怒涛のように過ぎてしまいました、フジロック。
もちろんキュアーとの邂逅も嬉しかったし、渋さの片山さんに涙したり、意外?にもブルースブッチャーズの素晴らしいパフォーマンスに小躍りしたり、とにかく種々雑多、フジロックの醍醐味を満喫させてもらいました。
何がショックと言っても、ホワイトのクラムボンの最中に豪雨のせいでポンチョのシームが一気に崩壊し、背中からびしょ濡れになったためテントに避難。SIAを見逃したのは痛かったw歯ぎしりもしたけど、これもまた仕方なしです。
今回ほとんど思い入れもないSIAを密かに楽しみにしていたのには訳があります。
2年前のフジロックあたりからフェスのパフォーマンスが大きく変わった。
それは受け手である自分が変わったのもあるけれど、確実にアーティストもオーディエンスも変わったと思ったのです。
それはテクノロジーの進歩が大きく絡んでいて、ステージに映し出される映像がメインになってきている感を強く感じたのです。
ライヴはパフォーマンスだけでなく、ヴィジュアル、サウンド、ライティングなどを総動員した総合芸術になりつつあるのではないか?と強く思い始めました。
今回のフジロックはキュアーとの邂逅をメインに、裏テーマはこのライヴの総合芸術化を確認するという目的を個人的に持ってました。
ケミカルやトム・ヨーク、ジャネール・モネイなど海外で先端を走るアーティストに強くその傾向が見えることで、ほぼ確信に変わりました。
少なくともスタジアムクラスのライヴをする人たちにとって、この総合芸術化は免れ得ないんだと思います。どれだけすごい演奏をしようが、このヴィジュアルやコンセプトでパフォーマンスを支えるのは必須のように思います。
今年のフジロックを3日間体感して痛感したのは、このライヴの総合芸術化です。
私たち世代からしてみれば、MTVで起きた商業的革命、PVの先鋭化と同等の変化、もしくは激震が起きているということだと思います。
これからライヴパフォーマンスは大きく変化していくと思います。
で、その一方でその流れに抗うように人間力を最大限に発揮するアーティストがいるのも面白く、個人的にそちらに大きく共感するのですが、これから続ける寸評でそれらをあげて綴っていきたいと思います。
フジロック2019 誰がなんと言おうと、今年のヘッドライナーはキュアーなんですっ。
ここだけの話ですが、私キュアーの大ファンです。
「wish」リリース時にロバートが「解散する」などと言うもんでイギリスに飛んで行って、エディンバラ~マンチェスター~ロンドンと追っかけを敢行したくらいです。
ロンドンからキュアーのライヴ会場行きの地下鉄臨時列車が走っているのに唖然としましたw車内にはロンドンのロバートコスプレ集団が大量に乗っていてワクワクしたもんです。
フジロックでヘッドライナー3回も務めた今となっては信じられないようですが、キュアーが来日するなんて、海外での人気の温度差から考えたら夢のまた夢だったんです、当時はw
その結果、今もキュアーの人気は日本では芳しくないと思っているので、最悪後二日の通し券でいいやくらいに高を括っていたのが売り切れまであぐらをかいていた原因なんですねwファンなのに高を括るという最悪の事態が…w
だからというのもなんですが、売り切れになった時はどうなるかと思いましたw
もはやこれまで…と何度思ったことでしょうw
ギリギリ一週間前にどうにかチケットを入手(もちろん定価以内で)できたので、一安心です!
と言うか、これからタイムテーブルと本気でにらめっこしていくことになりますが…
正直キュアーは今持って日本で人気はないと断言しても良いと思いますw
では、なぜスマッシュはキュアーを3度もヘッドライナーにしたかというと二つ要因があると思っています。
1 スマッシュの男気
2 海外、アーティストたちへのブランド訴求
この二つに尽きると思っています。
キュアーがヘッドライナーを逆指名しているフェスというブランドがどれだけ大きいかをスマッシュは分かっているとしか思えませんね。
様々なアーティストがカバー。それだけでなく、40年近く現役どころか最前線に居続けただけでなく、シーンに大きな影響を与え続けたことの凄さというか、まあ日本国内では分かりづらいですからね。
驚くのはここ最近のフェスでのライヴをとにかくストリーミングしまくっていること。
フジロックでもストリーミングが決定してますが、そのライヴの迫力は後期絶頂期の「wish」で見たツアーと比べても遜色ないプレイを見せていて、ロバートの声も全く衰えていません。
特にfrom the edge of deep green seaのギターアレンジは出色で、正直ストリーミングなのに興奮を抑えきれませんでしたねw
こちらでどうぞw➡️
楽曲もバンドサウンドとして全く色あせていない。(バンドサウンドが時代遅れになっているという現状を除けばという条件付きですけどw)
特にshake dog shake~from the edge of deep green seaというファンなら身悶えしてしまう流れ。この後、fightとかscrewとかきたら失神してしまいそうですねw
いわゆるダークサイドキュアーの面目躍如といったオープニングです。この幕開けだけでロバートの本気具合がうかがえるというものです。
この2曲はシングルカットされた曲ではなく、アルバム収録曲としてファンの間で人気が高くなっている曲です。キュアーにはこういう曲が結構ある。
シングルカットした人気曲も沢山あるのですが、案外シングルカットしていない人気曲が多いのも根強い人気を証明していると言えますね。
おそらく多くの人がジェイムス・ブレイクに流れることでしょう。そんなの想定の範囲内です。
個人的には時間帯をずらしてくれたらありがたかったし、ジェイムス・ブレイクも見たかった…。
でも、今回のフジロックの主役はキュアーなんですw誰が何を言おうとw
40周年のワールドツアーなんですよ、各国のフェスで軒並みヘッドライナーを務め、そのバンドの偉大さを証明するライヴでがっつりロバートはその偉大なる勇姿を披露する世界行脚の場として機能しているんです。
グラストンベリーを筆頭に各国のフェスでヘッドライナーなんですっ。
だから誰が何と言おうとフジロックの正真正銘ヘッドライナーはキュアーなんです。
ほぼチケット売り切れ状態になったのもキュアーがヘッドライナーだからなんですw
もうそれでいいんです!反論なんか受け付けないし、聞く耳持たないです。
みなさん、グリーンステージでお会いしましょうw よろしくお願いします。
パンチブラザーズ来日公演 やっぱり凄い!期待を裏切らない!なのに…
フジッロックよりも期待度が高かったパンチ兄弟の来日公演。
最終日1stセットに行って来ました!
冗談抜きで現行アメリカンミュージック最重要バンドの一つと言っても過言ではないバンドの再来日公演だけに会場の熱気も半端じゃありません。
もちろん、今回もセンターマイク一本で、それぞれが距離やピッキングの強弱で楽曲を自由自在にアレンジング。コーラスも更に磨きが入ってましたし、何よりクリスのボーカル力が数倍アップしているのに驚きました。
そもそもバカテク集団で話題になりがちですが、個人的にはクリスのボーカルが好きというのと、ソングライティングに惚れ込んだ部分が大きいのですが…とはいえ、今回更に表現力が増しているのには震えを抑えられませんでしたねぇ。
期待を裏切らないというか、期待以上を放つ手腕は、まさにバンドの黄金期を迎えているのを如実に感じさせる圧巻のステージングでした。
ところが!ブルーノートゆえの悲劇と言いましょうか。
初日から1stセットと2ndセットで曲にかぶりなしというのは、クリスも宣言したとのことで事前に知っていました。
最終日もそうなるのは分かっていましたけれど…途中からこれは盛り上がりへと導く選曲じゃないか…と言ううっすらとした悪い予感がする選曲。
もちろんブルーグラスのスタンダードや新作からの曲も出てはくるけれど、どう考えても代表曲やアッパーな曲が出て来ないことが徐々に心配になってくるw
でもって1stセットも大団円を迎えるというw
ああ、これは2ndセットで大花火をぶちまくのは間違いないと言う、変な確信を感じる選曲だったのが切ない。
不満があるんじゃなくて、1st〜2ndの流れが素晴らしすぎて、クライマックスを前に退場を余儀なくされたような切ない気分に…w
案の定2ndセットは2回アンコールの大盛り上がり大会だったそうでw
もちろん2ndを狙ったけれど、売り切れだったんだから仕方ないw
兄弟が悪いとは言わないwと言うか言えないw
あれだけ素晴らしい演奏してくれたんだから笑顔で拍手を送りたい。でも、素直に拍手できない自分がいたのも確かなんですねえw
にしても、このジレンマたまりませんねえ。だからブルーノートって好きじゃないw
「新しいジャズ」に興味のある人もみんな集まれ〜 渋大祭
世間では「新しいジャズ」がもっぱら人気だけれど、おしゃれなジャズとは無縁の人気バンドといえば渋さ知らズが筆頭にあげられるかもしれません。
カマシ・ワシントンが好きだったら渋さをおすすめしたいし、ハイエイタス・カイヨーテが好きな人にも是非渋さ知らズをおすすめしたいけれど、なぜそっち方面に支持が少ないかといえば、はっきりおしゃれじゃないからと言えるんじゃないでしょうか。
フジロックにも何度も出演し、入場規制がかかったことも。
キングクリムゾンから電気グルーヴまでカヴァーする雑食性も、現在までの総メンバー300人と言う人数も日本のジャズシーンはおろか、世界のジャズシーンにおいても異端というしかありません。
オリジナル楽曲も、ソロパートのアドリブも楽しさの一つですが、何よりもスケールの大きい魅力的なメインフレーズの魅力に尽きるのではないでしょうか。
「ナーダム」「本多工務店のテーマ」「校庭」「ひこうき」など、イメージを想起しやすい映画音楽のような楽曲の数々は、ファンならずとも魅了されるのではないでしょうか?
」
その渋さ知らズが結成30周年を迎え、渋さ大祭りを開催するとのこと。
一体どんなメンツになるのか?と期待していたところ、予想以上にフェスらしいメンツになっていて、逆に驚いてしまいましたw
渋谷毅オケやROVO、栗コーダーあたりは、メンバーが渋さのメインを務めることも多いので、納得のセレクトですが、クラムボンや中村佳穂、クリックラックスあたりはちょっとしたサプライズだし、オシャレを求める人にもおすすめの出演者でしょう。
そして、スガダイローには是非生涯でも屈指のピアノソロと愛聴する「犬姫」でのプレイを期待したいところです。
今後の出演者としては梅津和時や山下洋輔、板橋文夫、内橋和久などレジェンド枠。サンラアーケストラやファンファーレチョカリーヤなど海外枠。シカラムータとかも面白い。
でも渋さらしく、異種格闘技的にテクノ系などと取っ組み合いなんかもあると面白いなあ。などと、夢想するのも楽しいフェスになってきました。
このフェス、もっとアングラに走るかと思ってましたが、一般層にも十分おすすめできるメンツが揃って、これから日本のジャズに手を染めようと思う方には、一度にかなり注目のアーティストが観れるお得なメンツになっていると思います。
興味のある方は是非に。
今日もどこかでクリス・シーリ、今日もどこかでマンドリ〜ン Snarky puppy編
その雑食性はいわずもがな、ワーカホリックな上に天才なクリス・シーリは神出鬼没と同時にパイセン、後輩関係なくクリスの蟻地獄に引き込まれてセッションさせられるのは、ここ数年の活動からも日常茶飯事です。
このスナーキー・パピーとの共演も珍しい映像ですね。
びっくりしました。そして何よりクリスちっちゃ!と言うのが感想ですねw
なんか痙攣してるな!って、その男こそがクリスでした。
もちろんクリスは、メルドーなどノンサッチ系列からジャズシーンにも目を配っているに違いないのでスナーキーもチラチラ横目で様子を伺っていたのでしょう。
このような共演を経て、またスナーキーのエキスをたっぷり吸収して新たな実験を試みるに違いありません。
この中にエスペランサもいるらしいんですが、分かりませんねえw